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子供のセカイ。121

[412]  アンヌ  2009-12-19投稿
その場にいた若者から報告を聞いたハントは、「ふーん」と一言呟くと、遠慮なくずかずかとジーナたちに近づいていった。
ジーナはじろりとハントを見下ろした。そう、ジーナの方がわずかに身長が高いのだ。ハントはジーナの前に立つと、同じように腕を組んで仁王立ちになった。まったく同じポーズを取り、さらに不機嫌な表情まで真似して、ジーナを睨んで見せる。……馬鹿にしているようにしか見えない。
当然ながら短気なジーナは、イラッとして素早く右膝を繰り出し、ハントの腹を蹴った――つもりだったが、それよりさらに早い動きで脇に避けられ、ジーナは思わず目を見張った。
「ふーん。いい動きするじゃねぇか、あんた。」
ハントはにやっとジーナに笑いかけ、それから何事もなかったように今度はくるりと王子の方を向いた。
「……。」
しばらくジロジロとぶしつけな目で王子を眺め、それからようやく口を開いた。
「お前は何の特技がある?」
「……?」
王子は怪訝そうにハントを見た。そしてため息をついて答えた。
「ないよ、そんなの。領域を越える時に僕の能力はみんな失われてしまったから。」
「ふーん。『役立たず』ってことか。」
その一言にピクリと反応した王子は、思わず剣の柄に手をかけた。しかし、先ほどジーナをからかったような顔ではなく、とても冷徹な目をしているハントに気づいて、背筋がスッと冷えた。
ハントは口元を歪めると、吐き捨てるように言った。
「『役立たず』はいらねえ。覇王様は力のある奴を望んでおられるからな。」
そして目で若者たちに合図すると、四人の若者が王子へと走り寄り、王子の周りに正方形を作るようにして立った。
若者たちは互いに手をつないで王子を囲った。その陣形が意味することに気づいて、王子とジーナの顔はサッと青ざめた。
それは<消去の陣>だった。治安部隊が持つ特殊な力の一つで、光の子供が考えた想像物の存在を、完全に消してしまう技だ。
「まさか……そんな…!」
「そのまさか、だ。」
ハントはにやりと笑う。ジーナは剣を抜き放って王子の周りに立つ若者に斬りかかったが、走り寄ったハントに、片手で――しかも素手で、剣を受け止められてしまった。
「あんたは気にしなくていい。役に立ちそうだから、消さずに強制労働施設に運んでやるよ。」

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