スカバンburn!!02 -14- 〜流れる時間〜
光希もキーボードに手を触れたがなんとなく気分が乗らず足をぶらつかせた。
すると、カランというスティックが床に落ちる音とともに慶太郎が立ち上がり体育館の窓に向かって歩き出した。
山と反対側の窓は草むらに直接出れるようになっている。
慶太郎はそこに腰かけ道路を挟んだ向こう側に広がる田んぼを眺めた。
光希は慶太郎のそんな様子を眺めていた。
光「練習せえへんの?」
慶「…なんかそんな気分じゃないなあって思って」
遠くで管楽器の音が絡みあうように聞こえる。だが、彼らの姿は見えない。
光希はまたしばらく慶太郎の背中を眺めてから立ち上がりそばに近寄った。
光「掃除も練習もしないなんて…今日自分サボってばっかやん」
慶「そうやなあ…掃除はごめんなさい。大変やった?」
光「虫のせいで皆大騒ぎやった」
慶「ああ、なんとなく想像できる」
慶太郎が小さく笑った。
ゆっくり流れる外の風景と慶太郎との間の穏やかな空気に光希はなんとなく癒される気がした。
光「あんたは虫平気?」
慶「んー…」
慶太郎は唸ると足下にあったサンダルを履き草むらに出た。
光「……?」
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