携帯小説!(PC版)

トップページ >> 恋愛 >> 天使のすむ湖10

天使のすむ湖10

[301]  雪美  2006-08-14投稿
 香里のそばに夏休みはいられても、学校がはじまれば一緒にはなかなかいられない、そのため携帯ナンバーとメールアドレスを教えた。
キヨさんにも何かあったら知らせてほしいと伝えた。
俺に受け止められるだろうか、最後まで看取りを引き受けた経験なんてないのだから・・・・
インターネットや本で調べても答えは見つからない、どこを見ても個別ケアが大事だと書かれている。他は受容、共感、傾聴という耳慣れない言葉だった。何のことだろうと思っていた。
 
せめて香里のしたいことを今しかできない経験をさせてあげたい、彼女の願いは何なのだろうか?
恋人ができて、他の願いはないのだろうか?


香里の自宅に着くと広々とした書斎にいた、何百冊もある本を読み漁り美術の本を見て、画材がほしいと言い出した。俺ははじめ買いに行こうかと思ったが、よく考えれば世界的に有名な画家の別荘に画材がないわけがないことに気づいた。キヨさんに聞いて地下にあるアトリエの鍵を借りた。
薄暗い階段をくもの巣を払いながらすすんだ、中にはさまざまな巨匠の絵ともちろん葛巻画伯の絵も数多く残されていた。
その奥の画在庫の中に油絵の道具とキャンバスのかかれていないものと、使われていないスケッチブックを見つけた。スケッチ用の鉛筆もそろっていた。画材一式をそろえると香里の部屋にもっていった。
窓辺にもたれたままルノワールの絵のページを開いたまま、うたたねをしていた。
その横顔にそっと口付けると、目を覚ました。
最近俺は香里が眠ると不安になり、口付けながら実は寝息をしているか確認しているのだった。
「画材そろったよ、本の数も驚いたけどアトリエの絵画もすごい数なんだね」
「私も元は父の影響で絵は好きだけど、才能がないのよねー」
昨日よりは少し元気に見えた、病魔は着々と忍び寄っているにもかかわらず、何かをする意欲を取り戻していた。
「あの天使の絵は父が描いたものなのよーまるで生きてるみたいで、不思議とどの角度からも見られているように感じるように描かれているのよね。」
と懐かしそうに説明してくれた。
「あの絵は香里によく似てるよ、」
「そうよ、モデルは私だもの・・・」
本当は香里は絵よりも美しく輝いて見えた。昨夜の消えそうな震えた姿がうそのようだと思った。

感想

感想はありません。

「 雪美 」の携帯小説

恋愛の新着携帯小説

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス