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世界でひとつだけの物語。?

[457]  麻呂  2009-12-21投稿

『お姉ちゃん。気分はどう!?』


三つ違いの妹の桜子は、いつも私の心配をし、こうして部屋まで来てくれる。


『うん。今日は少し気分がいいの。』



『そう、よかった。ふふ‥イブに彼と会うんでしょ!?

何着てくか決めた!?』



『ううん。まだ決めてないよ。桜子ありがと。私、目が悪いからさ。』



『え〜っっ!!だめだよ!!

おしゃれしなくちゃ!!

イブに会うんだからさ!!

今から買い物に行くよ!!』



『え‥ち、ちょっと‥桜子‥‥待って‥!!』



妹は、私とは全く正反対な性格だ。


明るく社交的で、


妹の周りには、いつも、にぎやかに人が集まってくる。


友達を大切にする優しい妹は、姉の私にも優しい。


思春期の頃、そんな妹に嫉妬してしまう自分が嫌になり、


悟られない様に、妹を避けていた時期があった。


けれど今は分かる。

彼女も彼女で苦しんでいたんだって。


ある時、妹が泣きながら私に言ったんだ。



『お姉ちゃんごめんね。

私だけ健康に生まれて来てごめんね。

お姉ちゃんの気持ちも考えないで‥‥。
自由気ままに行動してごめんね‥‥。』


『桜子のバカ!!

そんな事思ってくれてたんだ!?

気にしなくていいんだよ。

桜子は桜子。私は私だもん。

だから、桜子は今まで通り、自分らしく自信を持って行動していいんだよ。

お姉ちゃんは、桜子の事、大好きだからね。』



あの時、二人で声を出して泣いたっけ。

思い返せば、懐かしさでまた泣きそうになる。



自分らしく自信を持って――



もしかしたら私、自分に言い聞かせていたのかも知れない。


あの時の私は、まだ自分自身を受け止めきれていなかったと思う。



『お姉ちゃん。支度出来たら行くよぉ。』



けれど今は違う。



私には目標がある。


それは、



少しずつ、



少しずつ、



前に進んで行く事。


それは、



あなたが教えてくれた。



少しずつ、



少しずつ、



ゆっくり‥‥ね!!

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