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滲む世界 最終話

[303]  ゆう  2009-12-22投稿

ピンポーン♪

「はい」




「……俺…」



心臓が大きく跳ね上がる。



お兄ちゃんだ。


私はすぐにドアを開けようとしたけど…


開けられなかった。



お兄ちゃんの顔を見たら、気持ちが揺らいでしまいそうで…。


「…美智。開けなくてもいいから、話、聞いて」

お兄ちゃんの声…久しぶりに聞いた。



「俺…いつも気づくのが、遅いよな…」

「……」


「美智がいなくなって、俺にとって美智がどれだけ大事な存在なのか…改めて、分かった…」



…いまさら、何言ってるの…


「俺が…美智を幸せにできないことぐらい…分かってる」



私が、どんな思いで…
家を出たと…



「でも…一緒にいけるところまで、一緒にいたいんだ」


………


「ごめんな美智…。俺、美智と一緒にいたい…」

……ズルいよ。






「…ズルいよ。お兄ちゃん…」

私はドアを開けた。


私はお兄ちゃんに抱きついていた。





この先、どうなるかなんて分からない。


でも私は、今、お兄ちゃんと一緒にいたい。



END

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