もしも明日が2-9
「藤阪、早稲田は来るのか?」
火葉が聞いた。
若菜は高い木の上に腰掛け遠くを見たまま答える。
「わからないわ。
でも、来るんじゃないかしら。
彼はそういう人よ。」
火葉は夜空を見上げた。
三日月が青白く輝いている。
この分なら月明かりは期待しない方がいいかも知れない。
「…来たわ。」
若菜が静かに言った。
彼女の見つめる闇を火葉も一緒になって見つめる。
すると漆黒の中からライフルと小銃を装備した早稲田が現れた。
「…若菜、俺はまだ、こいつを認めない。
協力するのは若菜のためだ。」
「素直じゃないわね。
【蛍】風にいうならツンデレ、かしら?」
「誰がツンデレだっ」
若菜が楽しそうに笑う。
そして木から飛び降り軽やかに着地した。
「さぁて、じゃあ行きましょうか?
【不知火】、【時雨】?」
「「ああ。」」
若菜を守るように挟み歩き出す。
と、いうよりも二人を従えて若菜が歩き出したと言った方が正しい。
夜空の青白い三日月に薄く雲がかかる。
薄かった月明かりは更に僅かになり、家の明かりと街灯だけが光源となる街へと三人は歩き出した。
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