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ナイフ?

[383]  陣内  2006-08-14投稿
二十代前半の一部の例外が現れた。立派な体つきをしている。

僕たちは黙ったまま彼を見る。

『ねぇ君。俺と遊ばない?』

誰に言ったのかは一発でわかる。奈々さんに言ったのだろう。

『何、無視しちゃってるのかな〜?』

彼と目があった。僕は目を逸らす。

『こんな男といないでさ、俺と遊ぼうよ』

『うるさい』奈々さんがとんでもないことを言った。

血の気が引いた感じがした。

『はぁ〜』と彼は言うと急に僕の顔面を殴りつけた。

僕は地面に倒れ込んでしまった。

『あれ〜彼、寝ちゃったよ?寝ちゃったから置いていこうか?』

情けないな、と自分を責める。

『さっさとどこか行って』奈々さんの声には力強さがあった。

『調子づいてんじゃねぇよ』

彼の態度が凶変した。そして、奈々さんがしゃがみ込んだ。右太股を押さえている。蹴られたようだ。

『次はそんな痛みじゃ済まないよ』彼はそう言うと、どこからかナイフを取り出した。

脅しのつもりで出したのだろう。

僕は自分の恐怖心を押さえ込み、彼の両足につかみかかった。

『放せ、このカス』

彼は、足にしがみついている僕を振りほどこうと、必死になっている。

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