星の降る窓辺から
街のネオンがきらめく、夜半過ぎの交差点。
『あいつ』が走り去るのを、私はマンションの窓辺から見ていた。
きっともう、帰ってはこない。
なぜなら…。
ふと後ろを振り返って、ダブルベッドの上を見つめる。
そこには、全身が血まみれた女が横たわっていた。
まるでペンキをぶちまけたかのように、壁にまで飛び散っている赤い飛沫。
余程苦しかったのか、そこには指の跡が手形となって残っていた。
私は外に視線を戻すと、爪をガラスに押し当てた。
…ギギギ。
耳障りな音と共に、赤い涙がポトリと落ちる。
そう。
殺されたのは私。
きっとこの部屋へ、もう戻ることはない。
睨みつける窓辺の下で、『あいつ』は新しい女にネックレスを渡した。
さっきまで私が付けていた、ネックレスを…。
感想
感想はありません。