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サンタの手袋?

[240]  あこ  2009-12-31投稿
「ショックだなぁ〜あんなに意気投合したのに。ま、よくあることだよね。気にしないで。」

僕は出まかせに言った。

「ガムテープ……そういうのが好きなの?お兄さん。」

「あ〜………うん?」


僕は半ば自棄になりながら答える。

女は暫く何かを考えているようで、斜め上の方を見つめていた。

「じゃあ、仕切り直しね。」
そう言って、上目使いで僕を見つめた。そして目深に被ったウィンドブレーカーを脱がせようと手を伸ばす。咄嗟に女の手を払う。

予想に反し、怒る様子もなく、女は余裕を含んだ顔で笑った。

「私、臭うよね。煙草とか、お酒。シャワー浴びようかな。」

そう納得したのか、彼女はすっと、立ち上がり、バスルームへ向かった。

女がシャワーを浴びてる隙に逃げよう。その思いを見透かすかのように、女は言った。

「……でも、あなたも相当臭うよ。血の匂い。ぷんぷんする。ねぇ、サンタさん。」

僕は背筋が固まった。

やっぱりこの女は放っておけない。全部見られたのだと、確信した。

だが、この女は惚けて逃げることだって出来た筈だ。それなのに、どうしてぶりかえすようなことを言うのか。全部見ていたなら尚更だ。僕がどういう人間なのか、知っている筈だ。それなのに……
混乱する頭を揺すぶる。

「私ねぇ、ずっと待ってたのよ。私を終わらせてくれる人。一目見た時、あなただって確信した。ああ、この人なら何の迷いも感情も無しに私を消してくれるって。そう思ったの。」


面倒臭い女に引っ掛かった。自殺願望だと?しかも他人を利用した。報酬もなしに、何の得があってそんなことをしなきゃならないんだ。

面倒臭い。ひたすらこの女から逃げる方法を考える。

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