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世界でひとつだけの物語。?

[475]  麻呂  2010-01-01投稿

コンコンッ‥と部屋をノックする音。



『フロントにね、一時預かって欲しいと、頼んでおいたんだよ。』



彼は私に優しく微笑み、そっとドアを開けた。



彼がフロントの人から受け取った物は、


綺麗にラッピングされた、少し大きめの箱と、



両手いっぱいの花束だった。



『桃子。メリークリスマス!!

はい。僕からのプレゼントだよ。』



『ありがとう。嬉しい!!』



大きな花束。



その花束は、



ピンクのガーベラに、



かすみ草が添えてある、



とてもシンプルな花束だった。



『クリスマスと言えば、ポインセチアだけど、

桃子には、ガーベラの花を贈りたかった。

僕の好きな花なんだ。

色は“桃子”にちなんで全てピンク。』


両手いっぱいのガーベラの花。



私が大好きなガーベラの花。



彼は、どうして私の好きな花が分かったのだろう。



『私も好きだよ。ガーベラの花。』



一輪でも凛としていて、



力強く咲いている、その姿が。



『本当!?よかった!!

桃子。ピンクのガーベラの花言葉を知ってる!?』



『花言葉?』



『“熱愛”って言うんだよ。

まるで、僕と桃子の事みたいだね。』



『うん。』





そんなキザな言葉さえも、



彼は、サラッと言ってくれる。



けれど、私は嬉しい。



だって、



彼と会っている時は、



彼は、私だけの彼氏でいてくれるのだから。





『ジャ〜ン♪プレゼント二つ目。

花束は、そこへ置いといて。

今度は、こっちを開けてみて。』



プレゼントしてくれた彼の方が嬉しそう。



二つ目のプレゼントの、



ラッピングをほどいた。



『‥‥こ‥これは‥‥‥。』



それは、



淡い“ピンク色の杖”だった。



『桃子の為に、特別に作ってもらったんだ。

可愛いでしょ!?

もちろんこれは“外出用”に使ってね。』



『ありがとう。

可愛い♪

私‥これからは、家に引きこもってばかりいられないね。』


『うん。そうだよ。
少しずつ、ゆっくりでいいんだからね。』



明日になれば、



元の私に戻るんだ――



今までの私に――

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