いつものごとく、夜遅くに仕事を終えた義人は、携帯のメールをチェックしていた。
「ん、哲彦と、りおさん、由美さんから立て続けだな…」
由美とは、洋食屋の娘である。
『この前は、ありがとうございます。
この次、こちらにいらっしゃるのはいつですか？また、遊びに来てください。メールも待ってますよ』
りおからは、『この間は、楽しかったです。また来てくださいね。』と、短い内容だった。
哲彦からは、２人からメールが来たかとゆう内容だった。
５分前のメールである。
３０分後、自宅に着いた義人は哲彦に電話した。
「お疲れ様」
「おう、お疲れ！メール見たか？」
「ああ、タイミング良くね。君と２人からね」
「おお、来たか。
どんな内容だ?」
「２人とも、『また、来てください』って感じのね。」
「それだけ？で、お前はなんて返したんだよ」
「『ありがとうございます。何か面白いことがあったら、メールします。また、そちらに行く時に連絡します』って。こんな感じだな」
「なんだよ。ずいぶん事務的だな。もっとこう…フレンドリーになれないのかよ」
「ほう…そうゆうからには、お前は先に行ってると？」
「当然だよ。電話で毎日だよ。それに、お店の子からは、近く東京に行くから、会ってほしいって感じのな？」

「な、なんだって〜。おいおい大丈夫かよ」
「大丈夫って何がだよ?」
「彼女と会うことで、これからいろいろと…」
「いろいろと？別に大丈夫だよ。付き合ってるんじゃないんだから」
「けど、お前モテるからな。羨ましい限りだよ。…でも、会社の子に、お前を好きな子がいたら、あとあとね…」
哲彦は、ドキっとした。
昔から、義人のその点での勘の鋭さは、いつも当たっているからである。
「どうした？当たってんの？」
「んなことね〜よ。そんなことより、お前も早く前進させろよ」
「わかったよ。努力するよ。まあ、先は長いけど…」
電話を切った義人は、哲彦にもう１人の存在が見え隠れしていることを、なんとなく察した。

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