幸せをきみに -届け、この歌- 17
「バンド再結成やあ〜!」
今度あたし達は
ライブに出れることになった。
ベースは剛、ドラムは翔ちゃん、
ボーカルはこの日だけ
翔ちゃんの友達の中上くんが
とりあえずやることになった。
そしてあたしはもちろん
ギター。
「ほんま良かった。
ありがとう、翔ちゃん」
いつものように
並んで歩く翔ちゃんは
何度も同じ言葉を
繰り返すあたしに
呆れることなく笑ってくれる。
「あ、メールや」
普段通りに取り出す携帯電話。
違うのは、揺れるストラップ。
それと、携帯を見た
翔ちゃんの反応。
「お母さんや。
牛乳買ってきてやって。
面倒やな…」
「…真央」
立ち止まった翔ちゃんの
目はまんまるで
あたしの携帯のストラップを
じっと見つめていた。
「それ、どうしたん…?」
「え?…ああ、これ?
これは…えっと…」
和のこと、
翔ちゃんには言い出せない。
「あいつにもらったん?」
「え…?」
翔ちゃんの言葉に
どきっとした。
何で知ってるん?
「あいつ…和にもらったんやろ」
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