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GO AWAY#8

[541]  速見  2010-01-03投稿
第三話 京都の決意

京都が雪野を案内した場所は、知立高校から徒歩一時間かかった。一時間もかかった理由は、人の目を気にしながら歩いてきたからである。本来ならば二十分で到着する。さらに、雪野は、指名手配犯という理由以外にも人目を気にしたかった。なぜならば一時間前にこの隣にいる鏡京都に生ゴミが入っているポリバケツに入れられたからだ。臭くて人前には出たくない。

京都が連れてきた場所は閑静な住宅街で平日の昼間だと人気がなく、住宅街に入ったら人の目を気にしないで通ることができた。京都が案内した場所は一軒のアパートだった。

「ここは?」

雪野は、未だに手が震えていたが、アパートを見上げて京都に聞いた。二人は自然と震えている手を握っていた。雪野は相変わらず震えていたが、京都の手も震えていた。笑って雪野を励まそうとしていたが、京都自身も怖くてたまらないのだ。しかし、ここで「鏡君も手が震えているよ」と、言ったらもうこの関係でいられなくなるかも知れないと…見放されてしまうと思って言えなかった。

「ここは俺の幼馴染で一番信頼できる奴の家だよ」
「鏡君の?」

雪野が繰り返して聞くと「そうだよ」と明るく答えてくれた。しかし、幼馴染というと年齢が近いはず。平日の昼間にいるのか?という不安も覚えたが、そんな雪野をみて予想したのか京都は、「あいつは大学生だから」と答え京都は笑いをこらえながら

「大丈夫。眼と態度は怖いけどなかなかいい奴だよ」

と、付け加えたが「(目と態度が怖いだけでいい人じゃないんじゃないのか?)」と、思った雪野だが、ここまで来てしまったらもう後には引けないと思った……と、書きたいところだが、実際は京都が手を放してくれないだけだ。京都は逃げたい衝動に駆られている雪野を無視して「俺だ!京都だ!」と、言ってドアを開けさせようとした。

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