携帯小説!(PC版)

碧 9

[263]  2010-01-05投稿
「あ、」
「?」

香菜がなんか呟いた。

「愛美は休んでたから知らないんだよね」
「何をー?」

ケータイをいじっていた手を止めて香菜を見る。

「今日から新しい店員さんが来るらしいよ」
「へぇー、どんな人だろうね。女?男?」
「男。カッコいいんだってぇ」

そーゆー事か…。

あたしは再びケータイに目を移す。

「ふーん…」
「もー!もっと興味持とうよ!」

あたしの反応に対して香菜はため息まじりで言う。

「だって興味ないし」

またため息が聞こえる。

「ま、愛美にはカッコいい彼氏がいるからしょうがないか…」

「おい、お前ら早くしろー。朝礼始めるぞ」

店長がスタッフルームに入ってきて言う。

「「はーい」」

―――\r
「正月は意外と混むから気を引き締めていけよ。」
「「はい」」

店長の細かい指示が全員に回っていく。

「中村、おまえもう大丈夫なのか?」

店長が思い出したようにあたしに問いかける。
「あ、はい!何日も休んじゃってすいませんでした」
「休んだ分、今年はいっぱい働いてもらうぞー」
「はい!」

そして店長はあたし達がいる左端の方を見て手招きする。
それと同時に店長の元に歩いていくその人。

――あれっ?!

「今日からここで働いてもらう高峰だ。」
「高峰智です。よろしくお願いします。」

その人は軽くお辞儀をした。
その人の顔をよく見る。

「「あ!」」

あたしと高峰さんは目が合ったと同時に叫ぶ。

そうその人は1週間前にデパートでぶつかったあの"イケメン"…。

「え?2人知り合い?」

店長が不思議そうな顔をする。

「はい、この前、「知らないです」

…は?

あたしが言い終わる前にこの前会った事を否定された。

「初めまして」

高峰さんはあたしに軽くお辞儀をする。
少しも笑わないで…。

――何これ…。

あたしはその場に固まったまま高峰さんを見つめる。

「そうか?まあ良いや。伊藤、少しの間、こいつにいろいろ教えてやってくれ」
「はい」

店長は全然不思議に思わない様でまた指示を出していく。

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