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デジログ使いと翁の鍵 第16ログ―記憶―

[315]  白山こっこ  2006-08-15投稿
第16ログ―記憶―\r

倒れている切助から目を逸らし、零太はランザの方を向く。
「おい、終わったぜ」
と、気付けばランザは先程敗れた切助のデジログ使いであるカットと対峙していた。
「…そちらの翁の鍵はどうやら負けたようですよ。
…観念して、敗北を認めて下さい」
「くっ…
仕方が無い…」
カットは少し離れている切助に近寄り、恐らくはデジで回復させた。零太の炎や冷気で黒くなった脚も、また本来ならば複雑骨折を起こしていてもおかしくない体も、みるみる内に通常へと戻って行く。
「あ…」
零太は、戦闘終了まで回復が許されていない事に気付いた。つまり、もし戦闘中に死ぬようなことがあれば…
そうこうしている内に、回復した切助が目を覚ました。
「…あれ?俺は…負けた、ん、だっけ…?」
むくりと起き上がり、辺りを見回す。そしてカットを見、はっとして立ち上がった。
「ごめん、ね…カット、俺負けちゃった…
…やっぱ、先パイは強かったよ」
と、本当に残念そうな顔でうなだれる。そして次は零太の方を向いた。
「赤岸先パイ…俺、入学してからずっとアンタに憧れてたんだ…ケンカは強いし、リーダー質だし…
だから、先パイが翁の鍵だって知ったとき物凄く嬉しかった。これまで一年をたくさん蹴散らしてきて、俺は強いって思ってた時に先パイとの力比べが出来る…って。ま、そん時は負けるなんて思っちゃなかったから…
だけど、アンタは予想以上に強かった。完全に俺の負けだ…」
そう言ってもう一度うなだれた。零太はそんな切助を見て溜め息をついている。
こいつは馬鹿だ。自分さえどうなるかわからない修行に、力試しの為に年上に挑むとは…
カットはランザを向いた。
「早く、僕を殺せ。そうすれば切助は記憶を失う。苦しまずに済む」
言われたランザは、一言「わかっています」と言って、槍を構える。カットは静かに目を閉じた。そしてランザは力を入れて槍を振り上げ、目の前のデジログ使いに振り下ろす。
「…さようなら…」
槍が触れたところからカットの体は粒子となって消えて行き、すべて振り下ろすと完全に跡形も無くなっていた。
同時に切助の意識も薄れて行く。そんな中切助は先輩の声を聞いた。
「てめぇの為に俺が言える事はねぇが、これは言っておく…
年上に向かってタメ口きいてる様じゃ強くなんねぇぞ」
「…わかりました、先、パイ…」

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