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子供のセカイ。132

[361]  アンヌ  2010-01-12投稿
さっき散々な目に遭わされた、あの意地の悪い金髪碧眼の魂の分け身も、どこか別の国の子供なのだろう。そう思うと妙な気持ちになった。世界は繋がっている。“真セカイ”では国境は容易には越えられないが、“子供のセカイ”にはそういった意味での境界はなく、すべての子供たちのために平等に存在している。
「本当はとても素敵なところなんだわ。」
呟いた美香の声は小さすぎて、耕太には聞き取れなかった。
『可愛らしい』感じの家は、なかなか見つからなかった。そうこうしている内に日が暮れてきた。ラディスパークにも昼や夜があるんだ……。美香は彼方の建物群の上の赤く燃ゆる空を見やった。
「……もう、いい。」
「え?」
「その辺の家に入ろう。オレはまだ、一回くらいなら力使えるし。危なくても、それでなんとかなる。」
耕太はよほど疲れているのか、半ば自暴自棄にもなっているようだった。
美香は反論しようとして、やめた。耕太が美香の肩から手を離し、ふらふらと一人で歩き出したからだ。美香は慌ててその後を追った。耕太はある大きな洋館に近づいていった。
美香は恐々、館を見上げた。本当にここで大丈夫だろうか?外観はテレビや映画で見るお金持ちの家よろしく、すっきりと美しかったが、だからと言って危険がないとも言い切れない。美香が躊躇っている内に、耕太は鉄格子の門扉をぎいっと開き、それほど広くない庭を横切って大理石の玄関口にのろのろと歩みを進めた。
美香はため息をついて耕太の背中を追いかけた。門扉を閉じ、玄関の扉を開けようとする耕太の手を引き離して、美香が取っ手に手をかけた。
「私が開けるわ。何かあった時の援護をお願い。」
「……ごめん。頼む。」
珍しくしおらしい耕太に、美香は冗談めかして笑いかけた。
「怪物とかいたりしてね。」
「縁起の悪いこと言うなよ……。」
本当にいたらどうすんだ、と呟いた耕太に答えを見せるように、美香は思い切って両開きの扉を引き開けた。
中は闇に包まれていて、何の音もしなかった。二人はしばらく待ってみたが、やはり何も起こらないので、館の中に足を踏み入れた。
「……ここはホールか何かかしら?」
「にしちゃ、広すぎないか……?」
真っ暗闇、というわけではないので、館の内装はぼんやりとわかった。その余りある広大なスペースも。美香は首をぐるりと回して部屋を見た。

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