世界でひとつだけの物語。?
チェックアウトを済ませた後、
私達が向かった先は、もちろん私の家。
それは、母に彼を紹介するため。
家までは、タクシーを利用せず、
あえて公共の交通機関を利用した。
『桃子。降りる時は、足元に気をつけて。』
『うん。ありがとう。』
家の近くのバス停でバスを降りた。
今日からの私は元の私。
けれど、それは今までの私じゃない。
生まれ変わるんだ。
今までよりも前向
きな私に。
今日からの私は、決して後ろを向かないって、
心に決めたから。
『初めまして。宇野崎と申します。』
ずっと母に会わせたかった――
『まぁ‥あなたが‥‥‥。』
私がずっと願っていた事――
『娘さんとは――』
こんなに早く――
『分かっております。
それ以上は、聞かなくても分かっております。』
彼を、母に紹介する事が出来るなんて――
『僕の気持ちを、今すぐ全てご理解して頂く事は、無理かも知れませんが――』
思ってもいなかった――
『宇野崎さん。
もう、何もおっしゃらないでください。
誰が何と言おうと、
宇野崎さんが、娘を救ってくださった方には変わりありません。
私は、娘の笑った顔を何年ぶりに見る事が出来たのでしょう。
娘は、あなたに出会ってから変わりました。
とても表情が明るくなりました。
私は母として、あなたに心から感謝しております。
本当にありがとうございます。
これからも、娘の良き理解者になって頂けましたら‥‥
ありがたく思います。』
『こちらこそ、ご理解頂きまして、ありがとうございます。
あの‥‥ひとつだけ言わせてくださいますか!?
桃子さんは――』
『はい?』
『桃子さんは、とても前向きで、魅力的な女性です。
大丈夫。桃子さんは大丈夫です。
彼女は、ゆっくり、
ゆっくり‥‥
これからも前向きに生きて行きます。』
『宇野崎さん‥‥
ありがとうございます。
ありがとうございます‥‥‥。』
――あなたと言う人と巡り会えて本当によかった。
そう思っていたのは、
私だけではなく、
母も同じだったんだ――
感想
感想はありません。
「 麻呂 」の携帯小説
- 奈央と出会えたから。<434>
- 奈央と出会えたから。<433>
- 奈央と出会えたから。<432>
- 奈央と出会えたから。<431>
- 奈央と出会えたから。<430>
- 奈央と出会えたから。<429>
- 奈央と出会えたから。<428>