肌とねこ9
結論から言えば、やっぱり私はバカだった。
土曜日の昼にレイプされた。
昼間ならストーカーも出ないだろう、今関さんを買い物で呼び出すわけにもいかない。まだ酒気は残っていたけど、天気が良かったこともあって、一人で食材を買いに行った。
そこまでは良かった。
帰ってきて、玄関の扉を開けるなり、後ろから羽交い締めにされた。
声は出なかった。情けないが、仕方ないとも思う。半分パニックだった。
でも、本当に怖かったのは相手が黒の覆面を着けていたこと。
ただの覆面だと言えば、それまでだけど、それを見た時には人生の終わりを想像した。まるで我が身に降って来た死神だった。
後から考えると、顔を見られたくないから隠してたんだろうけど、現実感を逸したその姿には言葉では言い表せない恐怖を抱いた。
羽交い締めにされたまま押し倒されて、床に押さえ付けられた。
男はそのまま私の中に入って来た。
思い出したくもない。思い出せば出すほど自己嫌悪に陥る。
頭のどこかでは相手を心底憎む気持ちがある。
でも、他の部分では自業自得だと思う気持ちもふと湧いて出てくる。
私は甘かったんだ。
そう思ってしまう。
だって、
相手は今関さんだったから・・・。
漏れ出る吐息の中に彼を感じた。
「今関さん?」
本当は名前を呼ばない方が良かったのだろうけど、なんだかどうなっても良いや、と投げやりな気持ちになっていた。
そして相手の動きが止まった。
自分でも信じられなかったが、その隙に私は発作的に相手の覆面を剥いでいた。
見慣れたハゲ頭がそこにあった。今関さん・・・いや、今関の場合、顔を伏せたところで何の意味もなかった。
汗のにじむ登頂部は真っ赤になっていた。そこに汚ならしく毛が貼り付いていた。
思い切り殴った。
何発も・・・何発も。
効いたかどうかは知らないが、今関はそのまま無言で部屋から出て行った。
スグにドアのロックを確認してシャワーを浴びた。
手からは今関を殴った時に出来た傷から血が出ていた。
そして、バスルームから出てきた時に擦り寄ってきたキックにキックを見舞った。その猫の名前さえ、その時は嫌だった。
・・・つづく
土曜日の昼にレイプされた。
昼間ならストーカーも出ないだろう、今関さんを買い物で呼び出すわけにもいかない。まだ酒気は残っていたけど、天気が良かったこともあって、一人で食材を買いに行った。
そこまでは良かった。
帰ってきて、玄関の扉を開けるなり、後ろから羽交い締めにされた。
声は出なかった。情けないが、仕方ないとも思う。半分パニックだった。
でも、本当に怖かったのは相手が黒の覆面を着けていたこと。
ただの覆面だと言えば、それまでだけど、それを見た時には人生の終わりを想像した。まるで我が身に降って来た死神だった。
後から考えると、顔を見られたくないから隠してたんだろうけど、現実感を逸したその姿には言葉では言い表せない恐怖を抱いた。
羽交い締めにされたまま押し倒されて、床に押さえ付けられた。
男はそのまま私の中に入って来た。
思い出したくもない。思い出せば出すほど自己嫌悪に陥る。
頭のどこかでは相手を心底憎む気持ちがある。
でも、他の部分では自業自得だと思う気持ちもふと湧いて出てくる。
私は甘かったんだ。
そう思ってしまう。
だって、
相手は今関さんだったから・・・。
漏れ出る吐息の中に彼を感じた。
「今関さん?」
本当は名前を呼ばない方が良かったのだろうけど、なんだかどうなっても良いや、と投げやりな気持ちになっていた。
そして相手の動きが止まった。
自分でも信じられなかったが、その隙に私は発作的に相手の覆面を剥いでいた。
見慣れたハゲ頭がそこにあった。今関さん・・・いや、今関の場合、顔を伏せたところで何の意味もなかった。
汗のにじむ登頂部は真っ赤になっていた。そこに汚ならしく毛が貼り付いていた。
思い切り殴った。
何発も・・・何発も。
効いたかどうかは知らないが、今関はそのまま無言で部屋から出て行った。
スグにドアのロックを確認してシャワーを浴びた。
手からは今関を殴った時に出来た傷から血が出ていた。
そして、バスルームから出てきた時に擦り寄ってきたキックにキックを見舞った。その猫の名前さえ、その時は嫌だった。
・・・つづく
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