「悪いね。義ちゃん」
「義ちゃん？気持ち悪いよ。何だよ相談ごとって？珍しいじゃん。お前の方からなんて」
「だろ？いつも、あんたや、剛夫のアドバイザーやってんだから、たまには相談に乗れや」
「まあ…いいけどさ。あんたのこったから、女性がらみだろ？」
「正解！さすがだなぁ…」
「自慢してんじゃねえよ。…どうせ、相手から『どうしても会って欲しい』ってきたろ？」
義人の指摘は全て正解していた。
「まあな…しかも、例の掛け持ちしてる子も、今日メールがあったよ。それと…」
「それと？もう一つあんのかよ」
「会社の子にな…近々デートして欲しいってさ」
「羨ましい限りだな。俺なんか、他愛もない話のメールは、あっても『また来てくださいね』ってゆう、限りなく営業に近いメールだよ」
「そりゃあ、お前が丁寧すぎるのと、優し過ぎからじゃないのか？ちょっとは、フレンドリーになったら？」
「なるべく努力するよ。で…俺のことはともかく、どうすんだよ？お前…学生時代にもあったろ？みんなに平等に付き合ったら、俺が代わりに謝りにいったことが…」
「あったなあ…あん時は、お前殴られたもんなあ…」
「結局、俺は、お前の便利屋だよ。そのあと、お前はこの前別れた彼女と長く続いたんだから…」
「あん時は、悪かったよ」
「で、どうすんだよ。あの時と同じこと繰り返すのか？やめろよ。お前の優しさは、時には人を傷つけるんだから。どうゆう形であれ、一つに絞れよ」
「そうは、いってもなあ…」
「なんだよ。そのことで、相談してきたんだろ。…そりゃ羨ましいよ。俺より先に進んでいるんだからよ。俺は、お前みたいに、もてないから、そうはならないけどよ。…また、お前の尻ぬぐいはやだぞ！」
「うーん…考えておくよ。」
「なんだよ…そりゃ。」
今いち、あやふやなまま、２人は電話を切った。
哲彦自身、いつも義人に説教してる立場なのに、今回の義人には、言い返せないでいた。
とりあえず、やりくりすることで、様子を見ることにした
…だが、一つだけ気になっていたことを、義人には、伝えなかった。
掛け持ちをしている女性…カフェと土産物屋で出会った彼女が、メールの最後に「お連れの方は、どうしていらっしゃいますか？」と、質問していることを…

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