チンゲンサイ。<27>
『ユウ!!娯楽施設は4階だったな!?
エレベーターは、こっちだ!!』
ユウも俺も、親子揃ってコイツらに殴られ、既に体力を消耗しきっていた。
ならば出来るだけ、これ以上は体力を消耗させずに、コイツらから逃げ切らなければならない。
『だ、駄目だ親父!!エレベーターを待ってる時間なんてないよ!!
すぐ追い付かれるって!!』
『よしっっ!!
ならば階段だ!!
ユウ!!頑張れ!!
4階まで行けば人がいるし、何とかなる!!』
正直な所、俺は5人の若者から逃げ切る自信が無かった。
しかし、俺の中で、ここは何としても逃げ切らなければならない理由があった。
逃げ切れたら!?
俺は年頃の息子の気持ちが、少しは理解出来る様な気がする。
くだらない。
馬鹿げているかも知れない。
しかし、俺にとってこれは、自分の中での1つの賭けなのだ。
『待てコラアァァ―――ッッ!!
俺らから逃げ切れるとでも思ってんのかアァァ!?
“こども銀行券”とは馬鹿にしやがって!!
貴様ら2人、俺様が2度とフザケたマネ出来ね―様にしてやるゼ!!』
全力で階段を駆け上がるユウと俺の背後から、
リーダー格の男の怒声が響き渡り、後続の4人も何やらわめいている。
館内を巡回しているはずの警備員も、これだけの大声に気付かない訳はない。
目指すは4階だ。
人が多く集まる4階まで、絶対に逃げ切るのだ。
『あっ!!親父危ないッッ!!後ろ!!』
ユウを先に走らせ、そのすぐ後ろに付いていた俺の肩に、
徐々に距離を縮めて来たリーダー格の男が、手を掛けようとしていたのだ。
しかし俺は気付いていた――
『コレでも食らえ!ッッ!握りっぺ!!』
自慢ではあるが、俺は自分の屁を、自由自在に操る事が出来る。
まさか、こんな緊迫した場面で、この技が役に立つとは思いも寄らなかった。
『ぐっっ、グハアァァァァァァ〜〜ッッ!!』
男が撃沈し、その場でもがき苦しんでいる隙に、
ユウと俺は、着々と目指すゴールの4階に近付いていた。
感想
- 35680: 緊迫したシーンかと思いきや…マロマロ?最高っす?:まこ [2011-01-16]
- 35687: まこさんありがとうございます?私はできませんからね(笑)麻呂 [2011-01-16]
- 35700: またまたぁ?すごくおもしろいです?次の展開が楽しみです:まこ [2011-01-16]
- 35701: まこたんありがと?麻呂 [2011-01-16]
- 35787: こんなしょうもないお話を読んでくださってる方ありがとう [2011-01-16]
- 35788: ございます。近日中に続きを書かせて頂きますので [2011-01-16]
- 35790: よろしくお願い致します。麻呂 [2011-01-16]
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