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チンゲンサイ。<27>

[560]  麻呂  2010-01-20投稿

『ユウ!!娯楽施設は4階だったな!?
エレベーターは、こっちだ!!』



ユウも俺も、親子揃ってコイツらに殴られ、既に体力を消耗しきっていた。



ならば出来るだけ、これ以上は体力を消耗させずに、コイツらから逃げ切らなければならない。



『だ、駄目だ親父!!エレベーターを待ってる時間なんてないよ!!

すぐ追い付かれるって!!』



『よしっっ!!

ならば階段だ!!

ユウ!!頑張れ!!
4階まで行けば人がいるし、何とかなる!!』



正直な所、俺は5人の若者から逃げ切る自信が無かった。



しかし、俺の中で、ここは何としても逃げ切らなければならない理由があった。


逃げ切れたら!?



俺は年頃の息子の気持ちが、少しは理解出来る様な気がする。



くだらない。



馬鹿げているかも知れない。



しかし、俺にとってこれは、自分の中での1つの賭けなのだ。



『待てコラアァァ―――ッッ!!

俺らから逃げ切れるとでも思ってんのかアァァ!?

“こども銀行券”とは馬鹿にしやがって!!

貴様ら2人、俺様が2度とフザケたマネ出来ね―様にしてやるゼ!!』



全力で階段を駆け上がるユウと俺の背後から、



リーダー格の男の怒声が響き渡り、後続の4人も何やらわめいている。



館内を巡回しているはずの警備員も、これだけの大声に気付かない訳はない。



目指すは4階だ。



人が多く集まる4階まで、絶対に逃げ切るのだ。



『あっ!!親父危ないッッ!!後ろ!!』



ユウを先に走らせ、そのすぐ後ろに付いていた俺の肩に、



徐々に距離を縮めて来たリーダー格の男が、手を掛けようとしていたのだ。



しかし俺は気付いていた――



『コレでも食らえ!ッッ!握りっぺ!!』



自慢ではあるが、俺は自分の屁を、自由自在に操る事が出来る。



まさか、こんな緊迫した場面で、この技が役に立つとは思いも寄らなかった。



『ぐっっ、グハアァァァァァァ〜〜ッッ!!』



男が撃沈し、その場でもがき苦しんでいる隙に、



ユウと俺は、着々と目指すゴールの4階に近付いていた。

感想

  • 35680: 緊迫したシーンかと思いきや…マロマロ?最高っす?:まこ [2011-01-16]
  • 35687: まこさんありがとうございます?私はできませんからね(笑)麻呂 [2011-01-16]
  • 35700: またまたぁ?すごくおもしろいです?次の展開が楽しみです:まこ [2011-01-16]
  • 35701: まこたんありがと?麻呂 [2011-01-16]
  • 35787: こんなしょうもないお話を読んでくださってる方ありがとう [2011-01-16]
  • 35788: ございます。近日中に続きを書かせて頂きますので [2011-01-16]
  • 35790: よろしくお願い致します。麻呂 [2011-01-16]

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