携帯小説!(PC版)

碧 23

[210]  2010-01-23投稿
「愛美、よくあんな事を高峰さんに言えたね」
「だって…そうでもしないとあの男、変わりそうにないし」

bearの帰り道を香菜と2人で駅まで歩いていた。

「でも、愛美のそういうところも好きだけどね」

あたしは香菜の言葉に少し照れ笑いながら「それはどーも」って言う。

「でも…高峰さん、辛くないのかな…」

もう時期、地面に太陽が吸い込まれそうになるのを見つめながら香菜がつぶやく。

「どういう事?」

「…本当の高峰さんってもっと優しくて温かい人だと思う」

少しの沈黙のあと、香菜は切り出した。

「愛美も言ってたでしょ?『すごい優しい人に出会った』って」

「うん」

「本当の自分を隠してまで誰かを欺こうとするのって相手は辛いけど、自分自身を誰からも認めてもらえないって、自分も辛いんじゃないかな」

「…」

香菜は一言ずつ丁寧に話していった。

「愛美も、そうだったでしょ?」
「止めてよ!」

あたしの言葉に香菜はうつむく。

「ごめん…」
「あたしの話はいいから」

香菜は「うん」って頷いた。

あたしの頭の中は香菜の言葉が渦を巻いていた。

2人はそれぞれの想いを抱えながら帰り道を歩いていく。

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