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サークルチェンジ #35

[469]  Hollow Man  2010-01-30投稿
「変な爺さんだったよな〜。何が天下五振だよ。」
重々しくなっていた店内の空気から開放された青山が負け惜しみのような愚痴を漏らす。

「あの爺さん職人気質で無口だから、あんな話すの珍しいよ。気に入られたかもな?それより青山が野球やってたなんて知らなかったぜ。」
隼人は店主のことより青山の野球歴が気になる。

「あ、言ってなかったか?腹減ったし、なんか食いながら話すか。」
二人は商店街を出て、駅前のハンバーガーショップへ。


「んでどこのポジションやってたんだ?」
注文したセットを持って窓際の席につくと、隼人は聞き始める。

「ピッチャーやってた。でも先輩たちからイジメられてやめた。」
青山はストローに口をつけ、ジュースをひと飲みする。

「自分から言いにくいけど俺、日系ブラジル人なんだ。親父が日系で母さんはポルトガル系のブラジル人。先輩たちはそんな俺が1年からレギュラーなのが気に入らなかった感じ。」


(青山が見た目やたら気にしてんのはそのせいだったのか…)
「に、日本国憲法第14条すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」
隼人が青山を気遣い、バカの一つ覚えのように言うと、青山はせせら笑った。

「何がおかしんだよ。必死こいて勉強したんだぞ!」
青山に味方するつもりで言ったにもかかわらず、バカにされた隼人は腹を立てる。

「いや、お前がそんな固いこと言うとは思わなくてさ。それにそんな憲法なんざ、あってないようなもんだぜ?」
青山は早々と食べ終えたハンバーガーの包み紙を丸め、トレイの上に放り投げる。

「俺の親父は昔、プロの入団テスト受けて最後の二人まで残ったんだ。
最後のシート打撃でも親父は2本ヒット打って受かるはずだった。でも、もう一人残ってた日本人が1本しか打ってねーのに受かった。
親父は外国人の枠が今みたいに広くなかったからとか、実力は出し切ったから悔いはないとか変に納得してるけど、結局親父が日本人じゃないから落ちたんだと思う。
だから俺はクラスマッチだろうが手を抜かねーし、日本人には負けたくねー。」
赤裸々に心情を吐露する青山の話を、隼人は食べかけのハンバーガーを握ったまま、ただただ聴き入っていた。

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