携帯小説!(PC版)

トップページ >> その他 >> ネットを間に6

ネットを間に6

[466]  V2副会長  2010-02-03投稿
サンダーズとの練習試合は2セットに入り、ますます一方的になった。 1セット目はまだ、石川のトスを瀬戸がコースに打ち込んだりセンター北山のブロックが決まったりしていたが、2セット開始のサーブをリベロの坂口が後ろに弾いたのをキッカケに、瀬戸への集中攻撃が始まった。 守りの時の坂口と瀬戸のポジションがあやふやなのを見抜かれて、キャプテンの梶にサーブだけで10点も稼がれてしまった。
瀬戸のレシーブの上手さが、かえって坂口の判断を迷わせるらしく、試合中の修正は難しい。 北山の速攻でようやく一息ついた頃には、瀬戸は足にきたのか膝に手をつき喘いでいるようだった。 3セットの中盤、ポイントとなる場面で競り負け瀬戸、北山と続けてブロックを受けた石川は、次上げる所を失ってしまった。「和田」 水野監督は、怒りで顔が真っ赤だ。 「もういい、もっと体裁良く試合を終わらせろ」
「はい」やつれたような石川と交代してセンター松島の後ろに立った。 瀬戸とはあの時の失敗トスが唯一で、ここで空振りされたらかなわない。久慈か松島は当然網が張られているわけでコートの外で見るよりどん詰まりだ。また梶がサーブに入るのを見て、思わず瀬戸を振り替えると汗まみれの顔からかすかに苦笑いを返してきた。 あの瀬戸が、ヘロヘロだった。 梶のサーブは、縦の変化をつけて交代したばかりの和田を狙って入ってきた。いきなりで固まった和田の足元に坂口が飛び込んでくれて後方へと高く打ち上がったが、カバーに走った和田の手にボールは届いた。コートの中央に返ったボールに瀬戸が助走にはいったが、相手はすでにブロックを揃えて待っている。瀬戸は踏み切りを間違えたらしく、空中でボールが落下するのを待つようだ。後ろにいた和田は、ネット向こうの3人と瀬戸の時が止まるのを見た。
瀬戸がようやく打った時フォームもなにもなかったが、ボールは6本の腕をすり抜け、さらに梶がジャッジしたライン上に落ちた。
わっと、集まるチームメイトと交歓しながら、うつろな瀬戸がぎゅっと抱き締めてきた。
「……んです」
「わかってる」
思わず口走った自分にぼんやりしてる瀬戸の肩を和田は叩いてやった。「試合が終わる。少しでも梶さんにいいとこ見せてやろう」
「…はい」
瀬戸は、汗だくの顔をユニフォームでぬぐった。

感想

感想はありません。

「 V2副会長 」の携帯小説

その他の新着携帯小説

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス