サークルチェンジ #37
日付が変わって、5月も今日で最後。
早くも社会科のテストが返ってくる。
「それじゃー名前を呼ぶから順番に取りに来い。」
「有馬っ。」
「井原っ。」
「大友っ。」
「黒沢っ!!」
秋吉から呼ばれると、隼人は席を立ち問題用紙を受け取りに行く。
点数にすぐ目を通すと、安堵の表情を見せながら心の中でガッツポーズ。
そこへ隼人をいつも茶化してくるクラスメートの松永が、隼人の答案を覗き込んできた。
「どれどれ、黒沢見せてみろよ。お前どうせ赤点だろ?」
「えっ!?おっお前何でこんな点数いんだよ!?つ、つうかお前どんだけ野球好きなんだよ!」
「努力ってやつだよ。」
隼人は鼻をすすり、得意げな表情を見せる。
隼人は50問中45問正解。
そのうちの1問に誤字があったため、1点減点となり89点。
89点。つまり…
野球(や・きゅう)だった。
一方、仁藤も課題をクリアしており、早速秋吉は放課後、野球部監督就任への許可を得ようと校長室へと向かった。
秋吉が校長室の前に立ち、ドアをノックしようとすると、何やら耳に入ってきた。
下天の内を〜
くらぶれぶぁ〜
夢幻の〜如くなり〜
「これは…幸若舞の敦盛…」
秋吉はしばらく聴き入っていたが、気を取り直しドアをノックする。
「誰じゃ!!」
「社会科の授業を受け持っています秋吉です。
野球部監督就任の許可を頂こうと思いまして伺いました。」
「入るがよい!!」
秋吉が校長室に入ると、太い眉毛に大きな眼、高い鼻の下には立派なヒゲをたくわえた男が、いかにも坐り心地の良さそうな黒い皮椅子に袴姿で座っていた。
この男こそ、
尾張ヶ丘高等学校学校長
織田好信だ。
「して…本校で最も煙たい存在である野球部の監督になぜなろうと?」
入室後、一礼した秋吉に織田が今時珍しい扇子で肩を叩きながら真意を問う。
「一年に黒沢隼人という生徒がいまして…」
秋吉はここに至った経緯を説明する。
「単刀直入に野球部に試合をさせたいと?」
「はい。」
秋吉の言葉を聞いた織田は椅子を回転させながら立ち上がると、校長室の窓際に佇んだ。
「私も若い頃は…
うつけ、うつけと言われておりました。」
早くも社会科のテストが返ってくる。
「それじゃー名前を呼ぶから順番に取りに来い。」
「有馬っ。」
「井原っ。」
「大友っ。」
「黒沢っ!!」
秋吉から呼ばれると、隼人は席を立ち問題用紙を受け取りに行く。
点数にすぐ目を通すと、安堵の表情を見せながら心の中でガッツポーズ。
そこへ隼人をいつも茶化してくるクラスメートの松永が、隼人の答案を覗き込んできた。
「どれどれ、黒沢見せてみろよ。お前どうせ赤点だろ?」
「えっ!?おっお前何でこんな点数いんだよ!?つ、つうかお前どんだけ野球好きなんだよ!」
「努力ってやつだよ。」
隼人は鼻をすすり、得意げな表情を見せる。
隼人は50問中45問正解。
そのうちの1問に誤字があったため、1点減点となり89点。
89点。つまり…
野球(や・きゅう)だった。
一方、仁藤も課題をクリアしており、早速秋吉は放課後、野球部監督就任への許可を得ようと校長室へと向かった。
秋吉が校長室の前に立ち、ドアをノックしようとすると、何やら耳に入ってきた。
下天の内を〜
くらぶれぶぁ〜
夢幻の〜如くなり〜
「これは…幸若舞の敦盛…」
秋吉はしばらく聴き入っていたが、気を取り直しドアをノックする。
「誰じゃ!!」
「社会科の授業を受け持っています秋吉です。
野球部監督就任の許可を頂こうと思いまして伺いました。」
「入るがよい!!」
秋吉が校長室に入ると、太い眉毛に大きな眼、高い鼻の下には立派なヒゲをたくわえた男が、いかにも坐り心地の良さそうな黒い皮椅子に袴姿で座っていた。
この男こそ、
尾張ヶ丘高等学校学校長
織田好信だ。
「して…本校で最も煙たい存在である野球部の監督になぜなろうと?」
入室後、一礼した秋吉に織田が今時珍しい扇子で肩を叩きながら真意を問う。
「一年に黒沢隼人という生徒がいまして…」
秋吉はここに至った経緯を説明する。
「単刀直入に野球部に試合をさせたいと?」
「はい。」
秋吉の言葉を聞いた織田は椅子を回転させながら立ち上がると、校長室の窓際に佇んだ。
「私も若い頃は…
うつけ、うつけと言われておりました。」
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