FoR..LaCK..Of...?
僕の頭の箍(たが)がゆっくりと外れ始めたのは一昨年の冬の終わりの頃。
やがて冬は寒さを忘れ、春雷がいよいよ春の訪れを祝福し、柔らかな熱を孕んだ春風が、新たな生命の息吹きに語りかける。
花はピンと背筋をのばして、我先にと太陽の光に手を延ばしていた。
当時、僕は十七才で、早生まれの僕は三月初旬で十八になり、それと同時に県内の公立高校を卒業し、隣の県の私立大学に進学を決めていた。
僕の家庭はお世辞にも裕福とは言えなかったが、父は会社の残業を増やし、母は家事片手に、昼間はパート、帰宅しては夜鍋で編み物を拵えて、それを地域のバザーに売るなどして、兄と僕の二人分の大学進学費を賄(まかな)ってくれたのだから、立派な両親だと言えよう。
兄は僕の大学進学と同時に就職を決め、家を出た。
兄が就職し、これから僕が通うであろう大学の入学費を納金したことで、父と母は肩の荷が下りたのか、すっかり老け込み、定年残り十年程で、漸くお互いの念願であった観光地巡りに羽根を伸ばしていた。
やがて冬は寒さを忘れ、春雷がいよいよ春の訪れを祝福し、柔らかな熱を孕んだ春風が、新たな生命の息吹きに語りかける。
花はピンと背筋をのばして、我先にと太陽の光に手を延ばしていた。
当時、僕は十七才で、早生まれの僕は三月初旬で十八になり、それと同時に県内の公立高校を卒業し、隣の県の私立大学に進学を決めていた。
僕の家庭はお世辞にも裕福とは言えなかったが、父は会社の残業を増やし、母は家事片手に、昼間はパート、帰宅しては夜鍋で編み物を拵えて、それを地域のバザーに売るなどして、兄と僕の二人分の大学進学費を賄(まかな)ってくれたのだから、立派な両親だと言えよう。
兄は僕の大学進学と同時に就職を決め、家を出た。
兄が就職し、これから僕が通うであろう大学の入学費を納金したことで、父と母は肩の荷が下りたのか、すっかり老け込み、定年残り十年程で、漸くお互いの念願であった観光地巡りに羽根を伸ばしていた。
感想
感想はありません。