もしも明日が3-3
風の強い屋上のドアを開く。
案の定、楓はそこにいた。
「かーえでくんっ」
紗綾が呼ぶが応答がない。
「楓くん?」
寝転がった楓の顔を覗き込む紗綾。
「寝ちゃってる…」
火葉が同じように覗き込むと確かに楓は眠っていた。
「どうする?」
「叩き起こす!
…って言いたいけど楓くん最近あんまり寝てなかったみたいだしねぇ。
今日ぐらいは勘弁してあげよっかな。」
「それがいいよ。」
「じゃあ火葉くん、あたし先に若ちゃんの所戻るね。」
そう言うと紗綾は颯爽と風の強い屋上を出た。
「紗綾、行ったよ。」
「………。」
「寝たフリ、上手いな。」
フェンスに手をかけ遠くを見ながら火葉が言った。
「見破った奴は久しぶりだな。」
後ろで楓が起き上がる音がした。
「『IC』はキライか?」
「大嫌いだね。
ぶっ潰してやりたいくらいな。」
火葉の問いに即答する楓。
「そんな即答しなくても…」
「うるせぇ。
俺は、まだお前だって認めちゃいねぇよ。」
吐き捨てるように言った楓はそのまま屋上を出ていった。
しばらくして、火葉の携帯に新たな指令が入った。
「…またか。
柳市に配属されてから多くなったな。」
相変わらず用件だけのメールを一瞥し携帯を閉じた火葉は予鈴に合わせて屋上を出ていった。
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