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天使のすむ湖15

[288]  雪美  2006-08-18投稿
登校日の次の日、香里を訪ねると、いつものようにバイクから降りると抱きついて出迎えてくれた。

俺は書斎を借りて宿題に励むと、香里がコーヒーを持ちながらノートを覗き込んだ。
「ここはこうして、こっちをこうすると解けるのよー」
難解な数学の公式をすらすら解いて教えてくれた。意外な展開に俺は疑ったが、答えは合っていた。横に座り付きっ切りで夜中まで教えてくれた。
夜はサンドイッチ片手に数学はもちろん、古典も物理も全て教えてくれた。
それからは毎日二時間は専属家庭教師として教えてくれた。

葛巻家の書斎には三百から五百冊のさまざまな蔵書が並びどんな資料にも困らず、巷の図書館並みの本の多さだった。片隅にはもちろん少し古い型のパソコンもあり調べるには最新情報パソコンから取り入れたりも出来て、クーラーも利いた中で能率もよかった。
夏休みの終わりには宿題も終わり、二学期の予習もしたりした。
それも二時間ずつとして、他は香里の言うまま湖で泳いだり、買い物に付き合ったり、病気のことなど嘘のように穏やかに時は流れた。


実はそのとき英治がこの湖を突き止めていた。
俺はそのことさえも気づかずに、二人のときを楽しんでいた。

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