サークルチェンジ #41
いざノックを始めようかとした時、秋吉は8人しかいないことに気づいた。
「おい仁藤、一人足りんぞ?」
「今空いてるライトには一年の青山って奴が入る予定です。試合には来ると、黒沢が言ってます。」
カゴから取ったボールを、後ろから秋吉に手渡しながら仁藤が答える。
「そうか。」
練習試合が決まったことで気持ちばかり先走っていた秋吉は、何とか試合ができるというチームの状況をようやく知る。
「さー来ーい!」
「しゃっ来ーいっ!」
ナインからの威勢のいい催促に秋吉は気を取り直し、打球を各ポジションに放っていく。
「おいおい腰が高いぞ!
何だそのへっぴり腰は!」
「おいおい、グラブ出しながら走って追いつけると思うか!落下点までしっかり走れ!」
叱咤を交えながらノックを続ける秋吉は葛藤していた。
(本来なら選手一人一人の個性を把握した上で、指導したいが…もう時間がない。)
秋吉は全ポジションへのノックの後、内野と外野の間にフライを放つ。
これは内野手と外野手、どちらが捕るか判断力をつけさせるためだ。
「おい!どっちが捕るか、ちゃんと声出して確認しろ!」
」
(黒沢と仁藤以外は思った以上にレベルが低い…)
ナインの守備力に秋吉は落胆する。
ナインも秋吉の険しい表情からそれを感じ取る。
(やべぇ俺らヘタだから監督怒ってるよ…)
(ミスってばっかだと、何か罰でやらされそう…)
ノックの締めくくりは、キャッチャーフライ。
秋吉がボールを宙に浮かし、真上に打ち上げようとすると空振り。
もう一度試みるが、またしても空振り。
秋吉は焦る。
結局、3球目も空振り。
“恐くて厳しい監督”との印象から萎縮していたナインも、これには自然と笑いがこぼれ、ヤジるような口調で秋吉を急かす。
「かんとく〜!」
「手で投げた方が早いんじゃ…」
「“灯台下暗し”とでも言うか…」
あれだけ長短左右、自由自在に打球を飛ばしていた秋吉が自分の頭上には打ち上げられないのだ。
ノッカーで一番難しいのはキャッチャーフライを打ち上げることだったりする。
仕方なく手でボールを宙に放り投げる秋吉。捕手の仁藤がこれをきっちりと掴んでようやく終了。
秋吉の指導は初日としてはまずまず充実したものとなった。
「おい仁藤、一人足りんぞ?」
「今空いてるライトには一年の青山って奴が入る予定です。試合には来ると、黒沢が言ってます。」
カゴから取ったボールを、後ろから秋吉に手渡しながら仁藤が答える。
「そうか。」
練習試合が決まったことで気持ちばかり先走っていた秋吉は、何とか試合ができるというチームの状況をようやく知る。
「さー来ーい!」
「しゃっ来ーいっ!」
ナインからの威勢のいい催促に秋吉は気を取り直し、打球を各ポジションに放っていく。
「おいおい腰が高いぞ!
何だそのへっぴり腰は!」
「おいおい、グラブ出しながら走って追いつけると思うか!落下点までしっかり走れ!」
叱咤を交えながらノックを続ける秋吉は葛藤していた。
(本来なら選手一人一人の個性を把握した上で、指導したいが…もう時間がない。)
秋吉は全ポジションへのノックの後、内野と外野の間にフライを放つ。
これは内野手と外野手、どちらが捕るか判断力をつけさせるためだ。
「おい!どっちが捕るか、ちゃんと声出して確認しろ!」
」
(黒沢と仁藤以外は思った以上にレベルが低い…)
ナインの守備力に秋吉は落胆する。
ナインも秋吉の険しい表情からそれを感じ取る。
(やべぇ俺らヘタだから監督怒ってるよ…)
(ミスってばっかだと、何か罰でやらされそう…)
ノックの締めくくりは、キャッチャーフライ。
秋吉がボールを宙に浮かし、真上に打ち上げようとすると空振り。
もう一度試みるが、またしても空振り。
秋吉は焦る。
結局、3球目も空振り。
“恐くて厳しい監督”との印象から萎縮していたナインも、これには自然と笑いがこぼれ、ヤジるような口調で秋吉を急かす。
「かんとく〜!」
「手で投げた方が早いんじゃ…」
「“灯台下暗し”とでも言うか…」
あれだけ長短左右、自由自在に打球を飛ばしていた秋吉が自分の頭上には打ち上げられないのだ。
ノッカーで一番難しいのはキャッチャーフライを打ち上げることだったりする。
仕方なく手でボールを宙に放り投げる秋吉。捕手の仁藤がこれをきっちりと掴んでようやく終了。
秋吉の指導は初日としてはまずまず充実したものとなった。
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