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recall project #38

[606]  ERROR  2010-02-13投稿
松葉先生は古風な男性で、服装も英語の先生とは思えない着物を着ている。髪の毛は少なく、前髪や脳天付近は見事に抜け落ちている。しかし、髭は立派に生やしている。その髭は仙人のように長い。しかし、この人が流暢に英語をしゃべるとは思えなかった。最初、皆が先生を見て、声を聞いて動揺しただろう。そしてその声もものすごく低く渋い声だった。
緊張故か教室が静まりかえる。誰も物音一つたてない。松葉先生は教卓に手をつき話しだした。
「えらい静かだな……まあいい。今日は英語の最初の授業だから、みんなに自己紹介してもらおう。」
生徒達は少し俯く。正直、
(またかよ)
みたいなことを思っているのだろう。数日前、このクラスは自己紹介をしたばっかりだった。しかも、この異様な緊張感の中での自己紹介はものすごく…だるい。
黙り込む生徒達に松葉先生は続けて言った。
「だが、自己紹介は全文英語でしてもらう。」
(英語?マジかよ……なんでそんなだるいことを……)
俺は思わずそう思った。英語は嫌いな教科ではない、いや寧ろ好きな教科だ。しかし、皆の前で発言したり発表したりするのは大っ嫌いだ。
「じゃあ秋山!君から始めようか。」
英語での自己紹介はスタートした。生徒達が黙って見守る中行われるそれは非常に緊張するものだろう。おまけに松葉先生も神妙な顔付きで自己紹介中の生徒を見つめている。
自己紹介は順調に滞りなく進んでいった。俺も、難無く自己紹介を終えた。俺が自己紹介をするころにはほとんどの生徒の自己紹介は終わっており、多少リラックスしているようだった。そして、数分すると40人全ての自己紹介が終了した。
「はい、ご苦労。これによって皆の英語力が結構あることがわかった。よく中学で勉強していたからだろう。」
自己紹介終了後、松葉先生は講評を始めた。生徒達は黙ってそれを聞いていた。
「いいか、お前達。社会に出て必要なものは何だと思う?」
松葉先生は俺達に問うようにそう言った。そして一呼吸空けて続けた。
「ずばりコミュニケーション能力!社会に出たらいくら英語の教養があっても会話する能力がないと意味がない。そこでだ。この授業では、お前達の対話能力の向上を目指す!」

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