「遠藤さん、今度、東京行くんだよね？」
土産屋の同僚に、質問された『かすみ』は、「あっ、はい。もう何度も行ってますし…」と、いつもながらに答えた。
「向こうに友達もいるんで、ゆっくりしてきますよ」
「友達？あれ、彼氏とは？」
「ああ…別れたんですよ。実は、昔の会社の人だったんですけど、奥さんと子供がいたんですよ。…ずっとだまされてて…」
「ごめんなさい…いやなこと思い出させちゃって」
謝る同僚に、『かすみ』は、ゆっくり首を横に振った。
「いえ…私に見る目がなかったとゆうことですよ。」
「誰か、紹介してあげようか？」
「いえ、しばらく恋愛はいいかなと思ってるんで…」
「そう?でも、遠藤さん、お兄さんも、妹さんも結婚されてたわよね？…イケメンで、１人の人だったら、いくらでも紹介するわよ」
「お気持ちだけ受け取っておきます。…それに私、そのイケメンとかって、苦手なんです。もっと、心の広い人がいいんです」
「そう…じゃあ、気をつけて行ってきてね」
「ありがとうございます」
『かすみ』は、３日後の出発に向けて、ここのところ連勤していた。
仕事を終えた『かすみ』は、友達と哲彦にメールをしていた。
『かすみ』からのメールを受け取った哲彦は、困惑していた。
『今度、東京に行きます。時間作れますか？』とゆうメールなのだが、哲彦の東京に戻る日と、『かすみ』が東京に行く日が、重なっているからである。
しかも、時間帯が一時間ほどしか違わない。
東京で、合う日は調整出来るものの、偶然、空港で合うことも考えられる。
しかも、麻由は空港まで、見送りにくると言う。
「まいったなあ…
偶然とは、怖いなあ…」と悩んでいた。 出発前日、そのことで、義人にメールをした。
「ふーん。で、どうすんだよ？」
「偶然、合わないことを、祈るのみだな」
「ったく…。羨ましい限りだよ。少し、憎たらしく思えてきたよ」
「そんなこと言うなよ。確率は低くても、万が一ってこともあるからな…」
「まあ、祈ってやるよ。うまく、乗り切れるように」
そう言うと、義人は質問を変えた。
「ところでよ…」
「ん？なんだ？」
「彼女どうしてる？」
「彼女？」

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