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雨の猫

[297]  きじとら  2010-02-19投稿
私は人見知り
人を簡単に信じない。
それが私のモットーでもある。

雨の日、私は仕事に行くためにバスに乗った。
生憎、雨のせいでバスは混んで、私は立っていた。
その隣で同じように仕事に行くであろう、スーツ姿の男性。

優しそうな人っていうのは人見知りの私でも分かった。
信号待ちをするバス。
雨が激しくバスの屋根や道路の地面を打ち付ける音。
朝だけど薄暗い外。

雨のせいだろうか、
私がおかしいのだろうか、
その男性の横にいるだけで暖かい気持ちになれた。
こんな性格の私がこんな気持ちになったのは初めてで

このまま時間が止まって、この人の横に
そっと、ずっといたい。

本当に私は今日熱でも、あるのかな?

ふと、気が付いた瞬間
私は驚いた。
私は隣の男性のスーツの腕のあたりをギュッと握っていたのだ。

「ご!ごめんなさい!」

私はとっさに謝り、
目的地に着いたので、
急いでバスを降り
足早に会社に向かった。

すると、その男性も同じようにバスを降りた。

急いで、去ろうとする私を男性は呼び止めた。

「君はずっと僕の袖を握ってた。でも、それを僕は気付いてて何も言わなかった。」

ごめんなさいと私はまた謝った。
「なぜ僕は何も言わないんだろうと考えてたんだ。
そしたら、君がとっさに腕を放してバスを降りた時、僕は、
放してほしくないって
思ったんだ。
それだけを伝えようと思って。
なんか僕、変態だね。」

思わず私は笑った。

男性は顔が赤くなっていた。
「じゃあ、私も変態ですね」
私がそう言い返すと、男性も笑った。

雨はやんでいて、
傘をさしているのは私と彼だけだった。

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