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パラレルファンタジア 第三章(1)消えない影2

[341]  黒井  2010-02-23投稿
アイリが振り向いた先には、黒色の体表をした体長2メートルはあるだろうか、狼のようなディアーガが暗闇から赤い目を光らせ姿を現す。

「ふん、こんなのただの犬じゃない」

(いや…犬ではないし、あんなの見たことないよ…)

「ま、どうでもいいわ。すぐに終わらせてあげるわよ」

「歴戦の武器よ我が使い手となり己の錆を落とそう…召還!!」アイリが召喚呪文を唱える。
魔法陣ができた空間に手をいれ大きな剣を取り出す。

「バスターソード召喚!」
それは、剣身が幅広くところどころに錆がついた大剣だった。
自らの危険を察知したのかディアーガが、アイリに向かって手足の鋭く尖った爪と漆黒の牙を向け、飛びかかる機会を狙っている。

アイリは、いかにも重そうな剣を両手で強く握りしめる。

「いい度胸じゃない!」

「グォォー」

ディアーガは不気味なうめき声を上げると、こちらに猛スピードで飛びかかってくる。

アイリは、すかさず大剣を大きく振るい飛びかかってきたディアーガをなぎ払うが、残像とともにディアーガが黒い霧となって消える。

(アイリ? 倒したのか?)

心の中でアイリに問う

(何か違う…ディアーガを斬った感触がしないの)

「グルル〜」

さっきのディアーガの複数の不気味な声が今度は周囲から聞こえる。

「!」

(アイリ! どういうこと?)
いつの間に周囲を先程と同じ姿をした複数のディアーガに囲まれてしまった…

「く…」

アイリは一瞬戸惑うが、素早い動きで次々と大剣を振るい複数のディアーガを斬る。

だが、その攻撃も虚しく斬られて消えたはずの複数のディアーガが目の前にまた姿を現す。

(どうなっているのアイリ?)
「ん〜わからない…」

アイリが途方に暮れていると、管理局の人からの念話が聞こえてきた。

「そこの駐車場から道路に出て、右に曲がって…仲間と合流して」

「わかったわ! 仲間が向かっているのね!」

アイリは、目の前のディアーガ達を飛び超え駐車場をぬけて、人の気配のない道路を走る。それをディアーガ達が追いかける。

「次の50メートル先十字路右に曲がって…もう一人のハイアーが向かっている…」

「わかったわ!」

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