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トモ・イキ?

[453]  萩原実衣  2010-02-24投稿
 担任に連れられて来た女の子は、17歳にしては少し小柄だった。
クラスの全員が目を見張ったのは、彼女の歩き方、身振りが普通と違ったからだ。

 「お〜い!前を向いてくれ。っておい!みんな前向いてるよ。」
担任は、クラスの雰囲気とは、違った言葉で話し出した。
 「えーっと、見ての通り転校生だ。結城さん自己紹介してくれ」
担任は、彼女にふった。 クラスみんなの物凄い視線の中で 彼女は、満面の笑顔と物凄い大きな声で挨拶を始めた。

「こんど こちらの がっこうで みなさんと いっしょに べんきょう させて いただく ことに なった ゆうき なな です。よろしく おねがいします」
 ゆっくり、みんなに伝わるように 彼女は、精一杯挨拶をした。

「…。(わかるじゃん)」
花音は、心の中で思った。
 転校生の結城 菜々は、特別支援学校(養護学校)からの転校生だった。
菜々はまた 話し出した。
「私の障害は、脳性麻痺と言って自分の思うように中々身体が動かず、筋肉が緊張しちゃって。みんなびっくりしたでしょ。」
菜々は、笑いながら話した。
「…。(すげ〜。)」
花音は、自分の事をあんな風に言える菜々に単純に関心していた。

クラスの仲間も説明を聞いて表情が少しだけほぐれていった。
「山田!席移ってもらっていいか?」担任は、窓の側の一番前の席の生徒にいった。
「は?別にいいっすけど、なぜして?」
「あー。結城は、パソコンで授業内容の記録を取るんだ。そこの席コンセント近くに有るだろ?だからだよ。いいか?」
担任が説明すると生徒は、荷物をまとめて後ろに行く。
半分にやけ顔の生徒は、「すいません。」という菜々の言葉に反応することはなく動いていった。「桐生!席後ろだから、なんかあったら教えてやってな!」
担任は、真後ろの花音にお願いをした。
「あっ、…はい…。」
花音は、マジかよという思いだったが別に嫌だとは、思わなかった。
しかし、自分から話しかけるまでのアツイ気持ちなんてなかった。
「桐生さん。よろしくお願いします。」
またもや、満面な笑みで言う菜々に「あっ。うん…。」と目をそらしながら 返事をした。
「花音!ご飯食べよ。」沙希は、いつものように花音を誘い、家庭科室に向かった。
花音は、誘われるがまに席をたったが、心のどこかで菜々の事が引っかかっていた。気にしながらも教室に引き返そうとはしなかった。

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