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来世で逢いましょう 第五話

[273]  カルロス伊藤  2010-03-01投稿
「お早うございます、権藤総理」
挨拶をしてきたのは官房長官の田代宗男だった。
「ああ、お早う。昨夜変な夢を見てね、朝起きたら寝汗でビッショリだったよ」
「はぁ…どんな夢ですか?」
「あまりよく覚えてないが、拳銃で撃たれて殺されるという夢だ。一緒に居た女性も撃たれたようだが、一体あれは誰だったんだろう…」
「ほう…確かに総理のようなお立場になると、総理の政策を良しと思わない輩が命を狙ってるなんて事もけして無い話ではありませんからな。正夢にならぬ様お気をつけ下さいませ」

時は2031年、34歳の権藤新一内閣総理大臣は、新たな国家体制に変貌した新生日本の若きリーダーだ。
2017年に起きた中国との戦争に敗れ再び敗戦国となった日本は、終戦から10年程過ぎた頃から右傾化し始め、植民地となった九州を取り戻そうというスローガンを掲げた保守派の政党『愛郷党』の飛躍的な躍進により、自民・民主の連立政権が崩壊し、代わって愛郷党が与党第一党となり国政を担うようになった。権藤新一はその愛郷党の党首だった。
日本のトップの座に就いてから2年余りが経った昨今、植民地となった九州で日本政府にとっては厄介な動きが起こっていた。

「総理、今日はこれから何やら不穏な動きがある九宝(ジウバオ)の動向について国防軍の牛島総帥と会談がございます」

国防軍、昔は自衛隊と呼ばれていた曖昧な国家防衛組織が新政権発足と共に正式な軍隊としてその地位を確保した。しかも、国の政策に関与する程の立場に置かれるようになり、軍事政権とまでは行かないまでも、政府と軍、二つの拮抗した両翼で今日の日本の政治は成り立っていた。その組織のトップである牛島和弘総帥と権藤は、昔の自衛隊という組織の中で共に中国との戦争を経験した同士としての付き合いがあった。また、お互い九州出身であり、西郷隆盛や大久保利通ら幕末の志士達の信望者であるという共通点もあった。
牛島は権藤より五つ年上の39歳。防衛大学を首席で卒業し、鳴り物入りで自衛隊に入隊した、いわば軍事エリートだ。
父親が自衛隊のトップだったコネもあり、彼もまた若くして現在の国防軍総帥というポストに就いたのだった。

「ああ、牛(ギュウ)ちゃんね。了解了解!どーれ、今夜は久しぶりに牛ちゃんと赤坂の料亭でも行って、〆に荻窪辺りでラーメンでも食うとするか」

(続く)

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