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(仮)永遠の絆…最後の愛…12

[298]  月の狼  2010-03-05投稿
11.

丈 は真理の居る家に帰りたくなかった。
今は真理と顔を合わせたくなかった。
真理の浮気?
会社からの解雇…
これからの人生に絶望していた。

今朝の天気予報では「暫く良い天気が続くでしょう」と言っていたが、今の空は 丈 の気持ちのように鈍より曇って今にも雨が降り出しそうだった。

丈 は会社から引き上げた荷物は傘だけ残して全て公園のゴミ箱に捨てた。
それから、あてもなく歩き出した。


その頃、大賀根 望代は仲居に変装し阿歩屋旅館に隠しカメラを設置させていた。

馬鹿温泉の阿歩屋旅館といえば300年の歴史を持つ老舗旅館だ。
東京ドーム7コは入る広さというから温泉テーマパークと呼んでも過言ではない。
数々の内湯に露天風呂、打たせ湯。
館内の湯舟に全て入るのは一日では無理だろう。館内で1番の人気は滝のある露天風呂だ。
高さ50メートルの滝が敷地内にある。
魔怒化(マヌケ)の滝と呼ばれ「魔物の怒りが気化した」と言われていて熱いお湯が勢いよく落ちている。
魔怒化の滝は源泉98度で邪気や悪運を取り除くとして有名だ。
もちろん滝自体は熱くて近付けない。
少しでも滝から流れ落ちる、お湯に近付きたい所だが勢いと湯気と熱さで近付けない。
滝は敷地内を流れる川に注いでおり上流は熱く下流になるほど、ぬるめのお湯になっており、それぞれが好きな場所を探して自分に合ったお湯に浸かる事ができる。
馬鹿温泉地区には他にも温泉宿は幾つかあるのだが、この阿歩屋旅館の規模に勝てる宿はない。
それどころか、もしかすると日本中で阿歩屋旅館が1番広大な温泉宿かもしれない。


真理「もぉー嫌。急に雨が降ってきた。良い天気だ、って言ってたのに!」

真理は重たい旅行鞄を抱えながら急いで傘を取りに部屋へ戻った。
徹との待ち合わせ場所に向かっている途中で急に大粒の雨が降り出したのだ。
傘をさし再びバス停へ向かうと徹が先に待ち合わせ場所のバス停に着いていた。
徹は車から降りトランクを開け真理の旅行鞄をトランクへ入れようとした、が車のトランクが小さいのか、真理の旅行鞄が大きいのか、なかなか入らない。

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