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予告ホームラン【1】(全4話)

[861]  2010-03-07投稿
Aは病室に見舞いに来ていた。

そして、ベッドに横たわっている少年に向かって、こう言った。

「おい少年。早く良くなるんだぞ。おじさんも、今日の試合は頑張るからな」

Aがそう言うと、少年は嬉しそうに微笑みながら、こう言った。

「ありがとう。ボク、頑張って治すから。だから、おじさんも頑張ってホームラン打ってね!」

「あぁ。今夜必ずホームラン打つからな。少年もしっかり見てろよ」

Aはそう言って病院を後にした。

しかし、今年で40才のAはレギュラーが確約されている訳でも無く、試合にさえ出られる保証も無い。

かつてのホームランキングは、ここ数年たび重なるケガと闘いながら、プライドだけを心の支えに頑張っていたのだった。

――Aは迷った。

先発出場を直訴しようかと。

しかし、そんなAの気持ちを監督は知ってか知らずか、今季初めてAをスタメンに起用した。

堂々の4番での出場だ。

Aは気合いが入っていた。

古傷の痛みも無く、久し振りにコンディションも良い。

ついに試合が始まった。

相手投手は首位チームのエース。味方の選手に対し、バッタバッタと三振を奪っていた。

そして、Aのところに打順が回って来た。

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