もしも明日が3-6
「…おい、なんで俺はお前と二人きりでこんなことをしているんだ?」
隣で低く唸るように言ったのは楓だ。
「なんで…って、そりゃこっちの台詞だ。
てっきり紗綾が来るかと思ってたのに。」
心底呆れた、という風に火葉も返す。
なぜ彼ら二人が組むことになったのか。
それは若菜と紗綾による陰謀であった。
「若ちゃーん。
楓くんと火葉くん、ちゃんとやってるかなぁ?」
「さあ?
今頃けんかしてるんじゃない?」
二人を組ませた張本人たちは呑気に資料室で緑茶を啜っていた。
「ホントに来るのか?」
若菜のお願い(命令)により男二人駅前の本屋を見張ること早二時間。
そろそろ飽きてきた。
「さあな…
この間来てたのは偶然だったのかも。」
「今日は来ないかもしれない。」
「「…………………。」」
二人揃ってしばしの沈黙。
「…おい。念のためにお前残れ。」
「ヤだね。お前が残れ。」
視線は本屋に向けたまま、二人は言い合う。
「「………………。」」
再び、沈黙。
「帰るか。」
「だな。どうせ、今日は来ない。」
そう結論付けた二人は踵を返し町に溶けていった。
しかしそのあと、目的の人物がその本屋を訪れたとは、知る由もない。
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