ランバッシュ!
「・・・・」
小柄な体に不釣り合いなほど長いポニーテール。歩くたび、左右にユラユラ揺れている。
肩から下げるスポーツバックからは学校指定のジャージの裾が飛び出ていた。
「だらしない」
その裾を少し強引にバックに押し込んでやる。だが、思いの他バックに色々詰め込んでいたらしく、手が抜けない。
「・・・女子のバッグに手突っ込んで何してる」
「元気ねぇ〜な。何かあったのか?」
「ちょ、ちょっと! せめてバックから手を抜いてから話し始めて!」
「友達とケンカでもしたのか? それともセンセーに怒られた?」
「この・・・! 無視すんな!」
バックを無理矢理に引っ張るが抜けない。五回、頑張ったが結局そこで諦めた。
「・・・疲れた。勝手にして」
彼女はそのまま歩き出す。バックに手を突っ込んでいるため、彼女が歩き出したらこちらも歩かなくてはならない。
女子生徒のバックに手を突っ込みながら歩くなんとも危ない絵が出来上がった。
「私が・・・やらなくちゃダメなんだ」
前を歩く彼女は聞こえるか聞こえないかの声で呟いた。
「あっちもこっちも、大事なんだ。私にとっては」
自分に言い聞かせるように決意とも取れる言葉を呟く。
だが、何故かその言葉は『芯』が弱く感じた。
「・・・ムリしない方がいいんじゃね?」
その言葉に彼女の肩がビクッと震える。
「ムリすんなよ」
別に意図があってムリなんて言葉を使っているわけではない。
ただなんとなく『危うい』感じがした。
と、彼女は突然立ち止まりゆっくりとこちらを振り向きながら聞く。
「何か知ってる?」
「いや、知らね」
これは本当。彼女がどんな悩みを抱えているのかなんて全くわからない。
「ただ、何かムリなコトをしようとしてるなら止めれ。なんか危ない感じがするし」
でも、と続ける。
「どうしてやらなきゃならんことなら、俺が力になっても良いぞよ」
胸を張りながら答えた。
「バカ言うな!」とか突っ込まれると思ったが、
その時ふいに見せた彼女の嬉しそうな、それでいて哀しそうな痛々しい笑顔は忘れない。
いなくなってしまった今でも、
その顔が忘れられない。
小柄な体に不釣り合いなほど長いポニーテール。歩くたび、左右にユラユラ揺れている。
肩から下げるスポーツバックからは学校指定のジャージの裾が飛び出ていた。
「だらしない」
その裾を少し強引にバックに押し込んでやる。だが、思いの他バックに色々詰め込んでいたらしく、手が抜けない。
「・・・女子のバッグに手突っ込んで何してる」
「元気ねぇ〜な。何かあったのか?」
「ちょ、ちょっと! せめてバックから手を抜いてから話し始めて!」
「友達とケンカでもしたのか? それともセンセーに怒られた?」
「この・・・! 無視すんな!」
バックを無理矢理に引っ張るが抜けない。五回、頑張ったが結局そこで諦めた。
「・・・疲れた。勝手にして」
彼女はそのまま歩き出す。バックに手を突っ込んでいるため、彼女が歩き出したらこちらも歩かなくてはならない。
女子生徒のバックに手を突っ込みながら歩くなんとも危ない絵が出来上がった。
「私が・・・やらなくちゃダメなんだ」
前を歩く彼女は聞こえるか聞こえないかの声で呟いた。
「あっちもこっちも、大事なんだ。私にとっては」
自分に言い聞かせるように決意とも取れる言葉を呟く。
だが、何故かその言葉は『芯』が弱く感じた。
「・・・ムリしない方がいいんじゃね?」
その言葉に彼女の肩がビクッと震える。
「ムリすんなよ」
別に意図があってムリなんて言葉を使っているわけではない。
ただなんとなく『危うい』感じがした。
と、彼女は突然立ち止まりゆっくりとこちらを振り向きながら聞く。
「何か知ってる?」
「いや、知らね」
これは本当。彼女がどんな悩みを抱えているのかなんて全くわからない。
「ただ、何かムリなコトをしようとしてるなら止めれ。なんか危ない感じがするし」
でも、と続ける。
「どうしてやらなきゃならんことなら、俺が力になっても良いぞよ」
胸を張りながら答えた。
「バカ言うな!」とか突っ込まれると思ったが、
その時ふいに見せた彼女の嬉しそうな、それでいて哀しそうな痛々しい笑顔は忘れない。
いなくなってしまった今でも、
その顔が忘れられない。
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