ユニゾンハーツ 18−3
午前5時半……。
改めて全員で姫野を捜し回ったがペンションのどこにも姫野はいなかった。
もちろん窓やドアなども見たが異常はなかった。
抜け道や隠し部屋の類いもどこにもなかった。
僕たちは、疲労感と不安感に苛まれながら食堂に戻ってきた。
善孝
「どういうことだろうな……」
奈々
「現状では、はっきりしないけど……」
そこまで言うと奈々さんは顔を窓に向けた。
奈々
「今は姫野を見つけるのが先だね。
そろそろ外も明るくなってきたし、外を捜してみよう。
私と緋山くん、善孝くんと琴音ちゃん、里山くんと琴葉ちゃんの三組で捜索する」
裕也
「奈々、俺たちは?」
奈々
「裕也たちは、留守番を頼みたいの。
全員が出払ってしまうと、建物の出入りが自由になってしまうから」
裕也
「わかった。留守番してる」
奈々
「よし、行くよ」
そう言うと奈々さんは、黒髪をひとまとめにすると傍らに置いていた刀を手にして立ち上がった。
奈々
「いい?みんな。
森の奥には入らないこと。
建物の周りを探して何も見つからなかったら、いったんペンションの玄関前に集合してまとまって森の奥を探すようにするから。
もし何かあったら大声を出して」
奈々さんがそう言うと全員、無言でうなずいた。
奈々
「じゃあ、後は頼んだよ」
裕也
「ああ、奈々たちも気をつけてな」
奈々、南條、里山、緋山、楠本姉妹の六人は食堂から出て行った。
残された裕也、柚姫、達也は、奈々たちを見送った後、お互いに顔を見やった。
裕也
「さて……少し状況を整理するか」
柚姫
「あ、お茶を淹れてきますね」
ヒビキ
『手伝うよ、柚姫』
そう言うとヒビキは、サブスタンスして柚姫といっしょにキッチンに向かった。
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