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彼との距離〜vor1〜

[337]  みき  2010-03-15投稿
 まただ。

学校帰り。
本屋に来ていたあたしは目当ての雑誌を手に取り、レジへと向かう。
すれ違うとき、横目でチラッと彼を見る。
彼は…あたしを見ていた。
毎日のように…あたしを見ていた。

 彼は綺麗な二重まぶたに、綺麗な瞳。
整った眉に唇。
明るい栗色の髪は、ワックスで整えられていて。
きっと彼も高校生なのだろう…
制服を身にまとっているように見える。
ブレザーの下に派手なシャツを着て、腰パンにチェーンがついている。

見るからに不良だ。

でも…すごくかっこいい。

 視線が絡まるのが恥ずかしくなったあたしは、すぐに目を逸らした。
ちょっと話したいけど、雑誌の邪魔しちゃいけないよね…
あたしは話しかけることを諦めた。
もう用事ないし帰ろっと。
 本屋から出ると、いつの間にか外は薄暗くなっていた。
不気味な空…少し怖い。
自業自得だよね…
苦笑いを浮かべるあたし。
その時…
「ねぇ、矢月陽輝さん」
「っ!??」
え?誰か今あたしの名前呼んだ?
恐る恐る振り返ると、そこにいたのは彼だった。
やっぱりキレイな人だ。
「どうしてあたしの名前…」
「あ、ごめん。何か勝手に調べてキモいね、俺」
首を横に振るあたし。
「俺ね、黒沢藜って言うんだ」
「そうなんだ」
「俺、陽輝ちゃんのこと前から可愛いなって思ってて…それでさ、良かったら付き合ってくれる?」
「え?」
あたし、男の子と付き合ったことないからどうすればいいかわかんない。
でもこんなかっこいい人に告白されるなんて、きっと一度きりだよね。
「うん」
「マジで?ありがと!」
 ニカッと笑う彼の口元から白い歯が見えて眩しかった。
その笑顔がとてつもなく太陽のようで、好印象だった。
「早速だけど、メアド聞いていい?」
「あ、うん」
あたしは自分のアドレスを赤外線で彼に送る。
「ありがと!もう帰るよね??」
「うん」
辺りを見渡しながら答える。
実はあたし…暗いの大の苦手で。
でもこんな子供みたいなこと彼には言えない。
すると、、、
「もう暗いし、送っていくよ!」
心の声が聞こえたかのように彼が言った。
「ありがとう」




感想

  • 36614: 黒沢くんかっこいい? [2011-01-16]

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