−ギルドの剣−2
今日、私の城へ男の子が来た。17歳かそこらの、私と同い年くらいの。
私は驚いた。彼が死んだ兄にそっくりなことに。ノックもせず私の部屋に入り込んできたそんな彼の第一声はこうだった。
「あ、あの、今日から居候になりました。カイって言います。よろしくお願いします」
急に自己紹介されて私は面食らった。しどろもどろになりながら自分も名乗らなくてはと思ったとき、寝巻のままで人前に突っ立っているのに気付いた。
「ちょっと待ってて!」
顔を真っ赤にした私は彼を廊下の向こうに押しやって、部屋に戻ると急いで着替えた。
やだもう! 新しいボーイが来るなんて聞いてない!
自分以外の城に居るあらゆる人間に少し憤慨しながらも、とりあえず私は着替えを終えた。
「ど、どうぞ」
小さい声で彼を呼ぶ。久しぶりに同年代の人と会ったものだから、私は相当服装を気にした。悩んだ末に着ることにしたのは、謁見用の正装だった。
私の部屋と廊下をつなぐ入口のアーチからひょこっと顔だけ出して、まず私を探す彼。
「…」
ゆっくりと部屋に足を踏み入れる彼を見て、私は目を見張った。
「……?」
見とれる私に彼は首を傾げる。
「えっと、どうかしました?」
「えっ!? い、いいえ! 何も…」
「そうですか」
彼は特に私を詮索するようなこともせず、担いでいた掃除道具を壁に立てかけると、私の部屋を見回した。
なんだか男の子にしては大人しいなぁ。こういうタイプの男の子は珍しいんじゃないかな?
「部屋、広いね?」
「え? う、うん」
「ちょっと見ていい?」
私が頷くと、彼は部屋を眺め始めた。そんなに珍しいんだろうか。ふーんなどと感心したように私の部屋のものを見る彼。
うらやましいのかな? それとも興味のあるふり?
どちらとも彼の顔からは読み取れない。作った表情でもなさそう。もしかして純粋な興味?
感想
- 36336: 女の子視点がいいですね?楽しみにしてます? [2011-01-16]