記憶
人間は選択を誤った。正解してくれるという確信はあった。なぜならそれだけの知識を与えていたからだ。だがそれは間違っていた。知識があるといってもそれが善なのか悪なのか私には判断出来ない。私は人間に悪の知識を与えていたようだ。それが人間の誤りの正体、私自身の誤りだ。私には責任がある。判断を誤った責任が。しかし、今の私にはそれを解決するだけ力が無い。時間も残されていない。
「すまない、柊、こんな事になってしまい」
目の前の少年に話しかける。その少年は黒と灰色のコートを着ている。何もかも見透かしたようなその瞳には私も恐怖を覚える。柊は微笑し髪の毛を軽く揺らして
「大丈夫ですよ。『女神』様。全部僕に任せて下さい。だから、貴方はもう休んでいいんですよ」と言った。何故この少年は私の下に来たのだろう。この子なら神にでも何でもなれる、本気でそう思った。事実、それだけの力はある。なのにこの子…、柊は私の下に来た。理由はおそらく本人にしか分からないのだろう。聞けば答えてくれるだろう。だが、その理由を知る資格が私には無い。なぜなら私は柊に責任を背負ってもらっているからだ。悲しい、柊は私に何でもしてくれるのに、私は柊に何もしてあげられない。気が付いたら私は涙を流していた。
「女神…様……?」
柊は本気で心配したらしく私の側に寄ってくる。私は柊を強く抱きしめた。それが、私の生きていた頃の記憶。私の最期の記憶――……
あの人がいなくなって1週間、『僕』の心には大きな穴があいた。決してふさがらない大きな穴が。しかしそれを悲しんでいる時間は無い。僕はあの人に変わって人間に会いに行かなければならないのだ。
「すまない、柊、こんな事になってしまい」
目の前の少年に話しかける。その少年は黒と灰色のコートを着ている。何もかも見透かしたようなその瞳には私も恐怖を覚える。柊は微笑し髪の毛を軽く揺らして
「大丈夫ですよ。『女神』様。全部僕に任せて下さい。だから、貴方はもう休んでいいんですよ」と言った。何故この少年は私の下に来たのだろう。この子なら神にでも何でもなれる、本気でそう思った。事実、それだけの力はある。なのにこの子…、柊は私の下に来た。理由はおそらく本人にしか分からないのだろう。聞けば答えてくれるだろう。だが、その理由を知る資格が私には無い。なぜなら私は柊に責任を背負ってもらっているからだ。悲しい、柊は私に何でもしてくれるのに、私は柊に何もしてあげられない。気が付いたら私は涙を流していた。
「女神…様……?」
柊は本気で心配したらしく私の側に寄ってくる。私は柊を強く抱きしめた。それが、私の生きていた頃の記憶。私の最期の記憶――……
あの人がいなくなって1週間、『僕』の心には大きな穴があいた。決してふさがらない大きな穴が。しかしそれを悲しんでいる時間は無い。僕はあの人に変わって人間に会いに行かなければならないのだ。
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