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コンプレックス女

[313]  紗枝  2010-03-21投稿



「前から好きでした…。
付き合って下さい!」


人気のない体育館裏。
桜の花びらが風に乗って静かに舞ってる。


彼とは、2年生の時、初めて一緒のクラスになった。
いつもみんなの中心にいる彼のことを、気づいたら好きになってた。


彼とはあまり話したことなかったけど、みんなに優しくて王子様みたい、ってずっと思ってた。


卒業したら会う機会はないし、ダメでもいいから卒業式に伝えておきたくて。


恥ずかしくて地面を見ていたけど、彼からの反応がないから顔をあげた。


彼は、予想とは違う……冷たい目で私を見てくる。
そして、低い声で言った。


「なんでこの俺が?」

「え……?」

「俺がブスでデブで地味なお前のこと、相手にすると思う?」




言葉が胸に突き刺さる。
信じられない…。
こんなこと言う人だったなんて……。


涙があふれてくる。
私はその場にしゃがみこんだ。


そして、彼が私の横を通り過ぎる時に言った言葉は今でも忘れない。


「俺とお付き合いしたいなら、整形して出直しな」


その言葉を聞いて私の中に新しい感情がふつふつ沸いてきた。
哀しみじゃない…激しい怒り。



私はスッと立ち上がる。

「ねぇ、待って?」

怒りに燃えた私は、立ち去ろうとする彼の背中めがけて跳び蹴りを一発お見舞いした。



感想

  • 36745: それでいい?新しい恋?頑張って? [2011-01-16]

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