コンプレックス女
「前から好きでした…。
付き合って下さい!」
人気のない体育館裏。
桜の花びらが風に乗って静かに舞ってる。
彼とは、2年生の時、初めて一緒のクラスになった。
いつもみんなの中心にいる彼のことを、気づいたら好きになってた。
彼とはあまり話したことなかったけど、みんなに優しくて王子様みたい、ってずっと思ってた。
卒業したら会う機会はないし、ダメでもいいから卒業式に伝えておきたくて。
恥ずかしくて地面を見ていたけど、彼からの反応がないから顔をあげた。
彼は、予想とは違う……冷たい目で私を見てくる。
そして、低い声で言った。
「なんでこの俺が?」
「え……?」
「俺がブスでデブで地味なお前のこと、相手にすると思う?」
言葉が胸に突き刺さる。
信じられない…。
こんなこと言う人だったなんて……。
涙があふれてくる。
私はその場にしゃがみこんだ。
そして、彼が私の横を通り過ぎる時に言った言葉は今でも忘れない。
「俺とお付き合いしたいなら、整形して出直しな」
その言葉を聞いて私の中に新しい感情がふつふつ沸いてきた。
哀しみじゃない…激しい怒り。
私はスッと立ち上がる。
「ねぇ、待って?」
怒りに燃えた私は、立ち去ろうとする彼の背中めがけて跳び蹴りを一発お見舞いした。
感想
- 36745: それでいい?新しい恋?頑張って? [2011-01-16]