空〜vor3〜
「皆ー!このクラスの担任になった小林久子といいます!一年間よろしくねー★」
30歳もなさそうな、若くて綺麗な先生。
綺麗というより…大人可愛い?
「なぁ、壱樹。小林先生可愛くねぇ?」
「あぁ、超可愛い」
「狙っちゃおっかな♪」
「マジで?」
「あぁ」
「頑張れよ」
「あ!岩井さんのことだけど、もう少ししたら来るから!」
岩井美花…聞いたことあるな…。
誰だっけ?忘れた…
しばらく、皆がざわざわやっていると…
『ガラッ…』
「すみません、遅れました…」
可愛い声が聞こえた。
下に向けていた顔をゆっくり正面へと向ける。
小顔にくりっとした大きな瞳。ほんのりと桜色に染まる頬。ふわっと巻かれたセミロングの茶色い髪。色白だった。
「「おわっ!可愛い」」「「付き合えたら最高やな〜」」
「壱樹壱樹!可愛くねぇ!?」
雅輝もクラスの男子もメロメロだった。
「岩井さんの席は、1列目の真ん中の席ね!」
「はい」
指示された席に座ろうとする岩井。
「それから、学級委員を決めるんだけど…誰かやってくれる?」
学級委員か…面倒いな。
「早川くん!」
「?」
「私と一緒に学級委員やらない?」
「いや…俺は…」
「そうだね!早川くんが相手ならやってもいいかも♪」
次々に賛成する女子達。
「やめとく…」
「何でー?一緒にやろうよー」
「壱樹、頑張れ」
「じゃあ、男子は早川くんね!」
「え゙…」
「あたしがやる!」
「いや、あたしが」
は?何で俺がやるからって他の奴等までやるわけ?
「壱樹はモテモテだな。羨ましいぜチクショー」
「って言ってる場合かよ!」
「あの、私もやりたい…学級委員」
岩井まで候補している。
「じゃあ…くじじゃ不公平だから、早川くんが女の子達を…」
「くじ引きでいいと思います」
先生が提案するのを遮る俺。
「仕方ないわね、じゃあくじでいい?」
「は〜い」
皆渋々と返事をする。
そして…
「当たりが出た人はー?」
先生が呼び掛ける。
しーんと静まり返る教室。
緊張感が漂っている。
そんな教室に、一本の細長い腕が上がった。
「あたしが当たりました」
可愛い声。その声の持ち主は、岩井美花。
「いいなぁ〜」
「早川くんと付き合うんだろうなー」
「付き合う?」
「まぁ壱樹ちゃん女子も決まったことだからいいじゃん♪」
「…あぁ」
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