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僕と和子と敬太郎 第四話

[269]  カルロス伊藤  2010-03-23投稿
傷の手当ては一通り済んだが、僕の頭の中はそれ所じゃなかった。目の前に居るのは本当に僕のお祖父ちゃんお祖母ちゃんなのか…どうしてこんな時代に来てしまったのか、もう戻る事は出来ないんだろうか…時間が経つにつれ、事の重大さに頭がパニックになりそうだった。
「健ちゃん、これからどうするん?」
「あ、ああ…」
そんな事聞かれても、どうするかなどという判断力は今の僕には一切無かった。すると、
「そや、暫くの間敬ちゃん家に泊まったらええ」と彼女が提案した。
「え!わしんとこ?」
「そうや、敬ちゃんとこでお店手伝ってもらったらええ」
昔、お祖父ちゃんの家は小さな金物屋だったと聞いた事がある。
「わしは、まあ…和ちゃんの頼みやったら聞いてやれん事もないけんど…うちで売っとる鍋よりも硬い頭の親父が何て言うか分からん」
「二人で行って頼んでみよ、ね」
「健ちゃん、ええやろ?」
暫く考えたが、現実としてこの先僕は行き場が無く、路頭に迷う事になる。それを回避するには取り敢えずその提案を受け入れるしか術が無いのだと思った。
「うん、助かるな。暫くお世話になってもいいかな」
敬太郎はあまり気が乗らない様な表情を浮かべていたが、取り敢えず三人で彼の家に向かった。

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