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alone 7=全ては教祖様の為だ=

[356]  兼古 朝知  2010-03-23投稿


――バララララッ!!

大きな音をたて、弾丸が弾けるように飛んだ。

だが。

銃口から放たれた弾丸は、標的の晶に掠りもせずに目の前の大木を穿っただけだった。
何故なら そこに晶はいなかったから。

晶は兵の真横にいた。

「…人を殺すのが怖いなら…撃たなきゃいいだろ?」

晶が諭すように言うと、兵は懐に忍ばせた小刀を晶に向けて言う。

「黙れ!全ては教祖様の為だ!!」

「あんたらの教祖様はそんなに怖いのか?」

「!!」

「あんた、人殺しの顔してねーもん」

晶は続ける。

「なぁ、人を殺したら
罪悪感あるだろ?
だからアンタは さっき
撃てなかった…。
もういいじゃねえか…
殺し合いなんてしなくて
いいじゃねぇか…」

晶の言葉に、兵は堪えきれずに涙を流しながら言った。

「人を…」

伝う涙は、乾いた土の上に落ち、消えていく。

「人を殺さねば、代わりに女房と娘を殺すと…」

それ以降の兵の言うことは言葉になっていなかった。
晶は黙って兵の小刀を取り上げ、捨てた。

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