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瑠海とショール

[395]  萩原実衣  2010-03-25投稿
僕の名前は、生島 瑠海 (いくしま るう) 12歳になった。

僕の住む所は…

『 なんにもない!』
なんて…言う人が多いけど、僕からしたら、宝の山だ!!

僕の住んでいるこの島には、約 800人くらいしかいない。
それも、ほとんどじっちゃんとばっちゃん。

ある人は、老人ホーム島なんていうばかな人間もいるがみんな、家族みたいでとっても楽しい。

若い人が少ないこの島では、僕は引っ張りだこ。じっちゃんばっちゃんのパシり!

「瑠海!定期便の船さこん荷物さ、持ってて」
とか…
「瑠海!電球替えておくれ」
とか…こんなのもある
「畑から、イモさ掘ってきてくんなんかい?」

別に僕はおっくうじゃない。

大好きだからね。

ただ…僕のじっちゃんは、無口でちょっと恐い。
心の中は、温かい人なんだけど…。
僕は、そのじっちゃんと二人暮らし。
ばっちゃんは、随分前に死んじゃったらしい。

ばっちゃんの昔の写真をじっちゃんの引き出しから探してコッソリ見たけど、すっげぇ〜美人だった。
じっちゃんには、まだ気付かれていない。

まぁ、じっちゃんの事は、またのちほど。
この島は、海に囲まれている。
しかも、肉眼で見る限り他の島は、見つけにくい。海の透明度は…申し分ない。

まるで日本じゃないみたいに何十メートルも下が見える。

そこに 僕の友達がいる。「ピ〜!(ごんごん)」 口笛と共に水の中で石を叩き合わせて呼ぶ。

「ショール!ショール!」

「クウィ!」
友達は、物凄い速さで泳いで瑠海のもとに来た。
友達のショール!イルカだょ。
まだ、生後 2ヶ月の子イルカ。
ショールは、僕とじっちゃんで死にそうになっていたのを助けたんだ。じっちゃんは、ショールは、野生だから早く離れるようにいうが…

「クウィクウィ!」
ある日、いつもよりショールが鳴いている。瑠海が駆けつけるとショールは、若い女性を背中に乗せて来た。

「クウィクウィ!」
「わかったって…。助けろというんだろ!今、先生呼んで来るから、ショール見ててね。」
そう言って瑠海は、島唯一のお医者さんを呼んできた。

「まだ、生きてるぞ!」
先生の車で瑠海も一緒に診療所へ運んだ。

じっちゃんも駆けつけた。じっちゃんは、その人の顔を見て、
「清海?清海!!」
誰っ?
「じっちゃん知ってるの?」
「瑠海、お前の母親じゃ…。」

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