ユニゾンハーツ 19−1
僕と裕也は椅子から立ち上がった。
それにつられるように柚姫とヒビキも弾かれるように立ち上がった。
裕也
「行くぞ!あれは、琴音の声だ」
ヒビキはサブスタンスを解くと僕たちは、食堂を飛びだした。
まず裕也と柚姫が外に出て異状がないかを確認した後、僕は表に出た。
善孝
「誰か近くにいないか!!
いたら声を頼りにすぐに来てくれ!!」
奈々
「どうしたの、善孝くん!?」
離れた場所から聞こえてきたのは、南條と奈々の声だった。
少なくとも南條と奈々は無事である。
善孝
「とにかく来てくれ!
声を出すから、それを頼りに」
奈々
「わかった。すぐに行く!」
そのことを聞いていた僕たちは、南條の声を頼りに森の中を進んで行った。
もう日が昇っているというのに森の中はとても薄暗かった。
数分進むと、そこには奈々や南條たちがいた。
全員、呆然とその場に立ち尽くしていた。
善孝
「来たか、おまえたち」
裕也
「ペンションの方まで琴音の声が聞こえていたからな」
僕は、その声の主、琴音の姿を探した。
まさかと思うが琴音が襲われたなんてことが……。
だが琴音はすぐに見つかった。
隣には琴葉もいる。
しかし、どうも二人の様子がおかしい。
琴音は地面にへたりこんだまま手で口を押さえ、小刻みに震えていた。
琴葉もそれに近い状態だった。
二人の様子がおかしいのに裕也も気がついた。
裕也
「何があったんだ、南條さん!」
善孝
「あれを……」
南條が視線を向けた先を裕也や達也、柚姫が目で追いかける。
達也
「なっ!!」
裕也
「あれ…は……」
木の幹に人間のようなものが倒れていた。
いや人間だろう……かろうじて判るぐらいにずたずたにされているが……人間だ。
上に出っ張っているのがおそらく顔の部分だろうが顔は識別できないほどに潰されていた。
身に着けていた服もあちこちが破れ、黒く染まっているが僕はその制服に見覚えがあった。
達也
「ま、まさかこの死体って………」
僕が奈々さんの方を見ると奈々さんは、小さく首を縦に振った。
奈々
「そう……姫野だよ」
奈々さんは、声を震わせてそう言った。
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