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黒い村

[883]  ハル  2010-03-25投稿
その日、遥香は寒さで目を覚ました。
時刻は午前7時。
いつもならパートに行く母が先に起きるため、暖房をつけていってくれるのだが…

(そうだ、昨日から秋子叔母さんの家に行ってるんだった…)
寒さで寝ぼけていた頭が回転しはじめる。
なんでも秋子叔母さんの息子さんが危篤状態らしく、深夜にも関わらず慌てて出掛けていったのだ。


普段はマイペースな母だが昨日の慌て様といったら…


しぶしぶ布団から起き上がると、奥の居間と通じる襖が少し開いているのが目に入った。
「どうりで寒いわけだ…さっさと着替えて行くか…」



今日から近くの大学病院で実習が始まる。
恐怖の看護実習だ。
先輩から聞いた噂によると、「眼鏡で小太りのお局看護師には要注意」とのこと。なにが要注意なのかは聞けなかったが…



身支度を整え、昨日用意しておいた大学指定の白衣を鞄に押し込んだ。
母は今日には帰ってくるだろうか…



遥香は戸締まりを確認して小さなアパートをあとにした。

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