携帯小説!(PC版)

春を唄う

[383]  アイ  2010-03-26投稿


彼女たちのために唄うのは傲慢だろうか


日の光が美しい春の午後


冷たい風


桜の命を容赦なく散らしていく


街は喜び勇んでぐうっと背を伸ばし


あの青の中で笑っている


小さな生き物たちが目を覚ます季節


新たな衣装をまとって


春が楽しげにスカートのすそを持ち上げ駆けていく


そんな当たり前のことが胸に染みる


――今年の春を迎えられなかった多くの命の代わりに


私は大きく息を吸い込む


そしてやはり唄い出した


幸せを幸せだと囁く小さな唄を……


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